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  • 昭和37年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

橋りょう下部工事の施行方法が適切を欠いたため手もどりを生じ不経済となっているもの


(576) 橋りょう下部工事の施行方法が適切を欠いたため手もどりを生じ不経済となっているもの

 (治水特別会計) (治水勘定) (項)河川事業費 (項)附帯工事費

 九州地方建設局で、昭和37年10月、指名競争契約により清水建設株式会社に泉町堤防(その2)外2件工事を31,150,000円(当初契約額34,800,000円)で請け負わせ施行しているが、橋台工事の施行方法が適切を欠いたため手もどりを生じ約230万円が不経済となっている。

 本件工事は、諫早市所在本明川の支川福田川の改修にあたり、泉町堤防、泉町樋管を改築し、土園川橋を架設するものであるが、うち土園川橋の架設工事は、延長21メートル、幅員11メートルのコンクリート橋の下部工事を施行するもので、その左岸橋台は、地下に粘土層があったため長さ7.5メートルのコンクリートぐい27本を打設して基礎を固め、これにコンクリートの重力式橋台を載せるよう設計して施行し、この完成をまって取付道路の盛土を施行したところ、その直後、盛土の圧力によって橋台が滑動し、工事の目的が達せられない状況となったので、これを取りこわし、38年度に新たに工事費約660万円で井筒工法による橋台を施行するにいたったものである。

 しかして、本件橋台の設計についてみると、その前面に施行する高さ4.8メートルの護岸盛土が背面に施行する取付道路の盛土の水平土圧に対抗して橋台が安定する計算となっているのであり、かつ、橋台下部の地質は軟弱な粘土層であるから、橋台完成後、盛土工事を施行するにあたっては、前記両面の盛土を土圧の均衡を保ちながら施行するのが相当であったと認められる。しかるに、実際の施行にあたっては、前面護岸の盛土を施行することなく、橋台前面に幅1.2メートル、高さ0.8メートル程度の捨石を行なっただけで取付道路の盛土を施行したため、その水平土圧により橋台が滑動したものと認められ、結局、本件は、工事の施行方法を誤ったため手もどりとなり、橋台等の工事費約183万円およびこの撤去費約47万円計約230万円が不経済となったものである。