昭和37年12月から38年11月までの間に、出納職員が現金を亡失した事実について所管庁から報告を受理し処理を要するものは繰越分を含め216件96,230,069円、その処理をしたものは202件87,680,534円で、その所管別内訳は次表のとおりである。
なお、処理未済のものは14件8,549,535円である。
報告を受理し処理をしたもの202件87,680,534円は、出納職員に弁償責任があると検定したもの8件17,495,002円、出納職員に弁償責任がないと検定したもの22件3,112,448円で、その他の172件67,073,084円は、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が弁償済みとなったなどのため別途処理したものである。
しかして、弁償責任があると検定した8件の内訳を所管別にみると、大蔵省1件240,000円、郵政省7件17,255,002円であり、これを態様別にみると、出納職員の不正行為によるもの4件17,113,005円、出納職員が善良な管理者の注意を怠ったことによるもの4件381,997円である。いま、1事項100万円以上のものについて、その概要を述べると次のとおりである。
(1) 東京郵政局管内品川南浜川郵便局出納員郵政事務官川端某が、窓口で貯金、保険等の現金受払事務に従事中、32年9月20日ごろから37年5月26日ごろまでの間に通常郵便貯金預入金等の預入報告をしないなどの方法により15,106,949円を領得した事実について、本件は出納員が自己の取扱いにかかる現金を領得したものであるから、38年3月、川端出納員に対し弁償責任があると検定した。
(2) 東京郵政局管内伊奈郵便局出納員郵政事務官伊能某が、窓口で為替、貯金等の現金受払事務に従事中、33年5月26日から35年8月1日までの間に通常郵便貯金預入金の預入報告をしないでまたは少額に報告する方法により1,526,056円を領得した事実について、本件は出納員が自己の取扱いにかかる現金を領得したものであるから、37年12月、伊能出納員に対し弁償責任があると検定した。