昭和37年度における損益は、営業損益において利益548億2708万余円、営業外損益において損失5億3432万余円であって、差引き542億9276万余円の純利益となり、これを前年度の純利益675億3347万余円に比べると132億4070万余円の減少となっている。
このように純利益が前年度に比べて減少したのは、収益面で電話収入等の収入が、一般経済界の不況に加えて37年9月から実施した電話料金改正の影響により、収入見込額に対し大幅に減収となり、他方、費用面で減価償却費、労務費等の費用が前年度並みの増加を示したことによるものである。
営業損益を電話および電信事業別にみると、電話事業では、収入は2956億3260万余円、費用は2196億8259万余円で、差引き759億5000万余円の利益となり、前年度に比べて43億9516万余円の利益減少となっており、電信事業では、収入は156億2073万余円、費用は367億4365万余円で、差引き211億2291万余円の損失となり、前年度に比べて49億8557万余円の損失増加となっている。
昭和37年度の所要資金4089億6615万余円については、年度首資金在高206億0043万余円、事業収入等3179億2561万余円、債券発行による収入金837億6548万余円(うち外貨債券の分63億9006万余円)を充当し、133億2539万余円を翌年度に繰り越している。
しかして、同年度末における長期借入金および債券発行残高は4149億3777万余円で、同年度中の利子支払額は125億9991万余円となっている。
検査の結果についてみると、電話加入者等からの申請に基づき、建設勘定支弁により実施した構内外移転工事および支障移転工事に伴って徴収した装置料等は、中間勘定の設備負担料で受け入れ、資本剰余金に振り替える取扱いとなっているのに、東京ほか10電気通信局で、昭和37年度中に徴収した2,118件477,977,676円のうち1,149件84,237,912円が、受入科目を誤って電話事業収入等に計上されている状況にかんがみ、関係部門間の連絡を密にして事務の適正化をはかるとともに、関係職員に経理処理の周知徹底をはかる要がある。
昭和37年度における建設勘定の支出予算現額は2319億6846万余円、支出済額は2168億6594万余円で、151億0252万余円を翌年度に繰り越しており、支出済額は支出予算現額に対し93.4%となっていて、前年度の支出予算現額1959億1006万余円に対する支出済額1824億5361万余円の比率93.1%に比べて向上している。
電信電話拡充第2次5箇年計画は本年度をもって終了し、これに要した経費は予定6230億円に対し実績7255億円となっているが、その成果をみると、加入電話の増設において計画186万に対し214万、電話局の建設において計画618局に対し538局、市外局の建設において計画8局に対し17局、市外電話回線の増設において計画598万キロメートルに対し819万キロメートル、電報中継機械化において計画15局に対し10局と電話局の建設および電報中継機械化を除きいずれも実績が大幅に計画を上回っており、また、自動化率も33年度当初57%に対し37年度末では75%と大幅に向上している。
なお、上記のように加入電話増設等は計画を上回って実施されたものであるが、積滞は33年度当初58万であったものが37年度末では101万と逆に増加している状況である。
昭和37年度における貯蔵品購買費支弁による物品の購買契約額は1132億1658万余円(うち38年度への契約繰越額19億5396万余円)で、その支出済額は前年度契約繰越分に対する支払い34億4549万余円等を含めて1153億4441万余円となっている。
37年度契約額は、建設工事量の増大を反映して前年度の1075億1260万余円に比べると57億0398万余円増加しており、また、年度末における貯蔵品(積送品を含む。)は138億2430万余円で前年度末の131億4280万余円に比べて6億8150万余円増加している。
積送品を除いた貯蔵品の月平均在庫額は前年度102億9493万余円に対し120億6364万余円で17億6871万余円増加しており、貯蔵品総回転率は前年度の10.12に対し9.58と低下している。