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  • 昭和37年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

電源開発株式会社


第24 電源開発株式会社

 電源開発株式会社の昭和37営業年度末資本金は601億円(うち政府出資600億円)である。
 37営業年度において設備の新設等を実施したものは、前営業年度からの継続および新規を合わせ、発電設備では池原等11地点の計画に対し11地点、送電設備では佐久間東幹線等5線の計画に対し5線、変電設備では佐久間周波数変換設備等5箇所の計画に対し5箇所で、これらを含めた総設備資金額は、計画421億9890万余円に対し365億7805万余円で56億2084万余円の差額を生じており、また、前営業年度に比べて32億3242万円減少している。
 これらの設備資金については、37営業年度は国からの出資はなく、資金運用部資金の借入金218億円、余剰農産物資金の借入金13億円、社債発行による収入金130億円等を充当している。

 37営業年度の収益は282億2848万余円、費用は281億7321万余円で、当期総利益は5527万余円となり、法人税等4455万余円を差し引いて、純利益は1071万余円となっている。これを前営業年度に比べると、収益で36億9117万余円、費用で37億4998万余円増加し、純利益で113万余円の減少となっている。
 収益が増加したのは、3水力発電所と1火力発電所が新たに発電を開始したことなどのため、販売電力量56億1096万余キロワットアワー、販売電力料262億4280万余円となり、前営業年度に比べて、それぞれ1.4%、15.8%の伸びを示したことなどによるものであり、一方、費用が増加したのは、水力発電費、支払利息等の増加によるものである。
 事業の執行にあたり、注意を要すると認められるものが次のとおりある。

(ア) 魚梁瀬発電所新設に際し、ダム築造工事に使用する社給セメント類は会社倉庫持込み渡しで購入し、同倉庫から工事請負業者が現場倉庫まで運搬し、さらに現場倉庫から作業場まで場内小運搬することとしているが、現地の状況からみて二段輸送を避け現場倉庫持込み渡しとして工事費の節減をはかることができたと認められる。

(イ) 川内川第2発電所新設に際し、土砂類およびコンクリートの運搬に使用するダンプトラックの損料について、積載量、使用時間および修繕費の検討が十分でなかったため高価となっていると認められる。

(ウ) 十津川第2発電所新設に際し、補償の一環として新設したつり橋の対風支索およびつり線について仕様書で所要強度の指定をしていなかったり、また、設計では鋼より線を使用することとなっているのに実際は鉄より線を使用したりしているなど工事の設計および施行が適切を欠いている。
 なお、本件つり橋は引継直後季節風により対風支索およびつり線が切れ、橋体が落下している状況である。