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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 物件

重油および灯油の購入にあたり処置当を得ないもの


(2) 重油および灯油の購入にあたり処置当を得ないもの

(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁

 海上自衛隊横須賀ほか3地方総監部(注1) および航空自衛隊第2航空団ほか19箇所(注2) で、昭和38年度中、ボイラー用重油を総額34,448,786円および石油ストーブ用灯油を総額14,762,287円で購入しているが、これらの調達は調達実施本部が行なえば有利であるのに地方総監部および航空基地等で実施したため、約580万円が不経済となっていると認められる。

 本件重油および灯油は、海上自衛隊各地方隊および航空自衛隊航空基地等においてボイラーおよび石油ストーブ用燃料として使用するもので、海上自衛隊横須賀ほか3地方総監部においては重油1,220,300リットルを総額9,899,840円で、また、航空自衛隊第2航空団ほか19箇所においては重油1,950,853リットルを総額24,548,946円および灯油875,684リットルを総額14,762,287円で購入しているものである。

 しかして、防衛庁においては重油および灯油は原則として調達実施本部で調達することとなっているもので、本件のように各部隊で比較的少量を石油販売業者等に発注するのに比べ、調達実施本部調達の場合は相当量を取りまとめて石油製品製造業者に一括発注するので通常有利となるもので、現に、陸上自衛隊ではボイラー用燃料として使用する重油を調達実施本部に要求し調達している状況であるから、本件購入分についても、防衛庁における調達の原則に従い、幕僚監部で各使用部隊の使用計画によって適当量を一括して調達実施本部に調達要求を行なったうえ、調達実施本部で調達すべきであったと認められる。

 いま、一例を本件購入の重油および灯油のうち、購入量の最も多いB重油および灯油2号の購入価格についてみると、調達実施本部で調達することとすれば次のとおり有利となり、その他の箇所の購入分についてもこれらと同様である。

(ア) 航空自衛隊第36警戒群で、38年10月、指名競争契約により日東石油株式会社からB重油159,000リットルを単価14円10総額2,241,900円で購入しているが、本品を調達実施本部で購入したとすれば、同本部では東京地区卸売価格に東京地区と本件納入箇所との地域差価格を加算したものを予定価格とする積算方法を採用しているので、これによりリットル当り価格を計算すると、東京地区卸売価格リットル当り8円10に地域差価格2円45を加算した10円55が購入価格となり、本件契約分に比べてリットル当り3円55を節減することができたものと認められる。

(イ) 航空自衛隊第2航空団で、38年10月、指名競争後の随意契約によりシェル石油株式会社札幌営業所から灯油2号444,700リットルをドラムかん洗じょう代を含め単価16円75総額7,448,725円で購入しているが、本品を調達実施本部で購入したとして前項同様の積算方法を適用してリットル当り価格を計算すると、東京地区卸売価格11円92に地域差価格0円85およびドラムかん洗じょう代1円20を加算した13円97が購入価格となり、本件契約分に比べてリットル当り2円78を節減することができたものと認められる。
いま、仮に海上自衛隊地方総監部、航空自衛隊航空基地等で購入した重油および灯油を調達実施本部で一括購入したとすれば、海上自衛隊横須賀ほか3地方総監部調達分の重油は9,390,600円、また、航空自衛隊第2航空団ほか19箇所調達分の重油は21,672,402円、灯油は12,258,780円で購入することができたこととなり、本件購入価額は合計約580万円を節減することができたものと認められる。

(注1)  海上自衛隊横須賀、大湊、佐世保、呉各地方総監部

(注2)  航空自衛隊第2、第4両航空団、第81航空隊、第5、第7、第9、第13、第15、第17、第18、第19、第23、第27、第28、第29、第33、第36、第37、第42、第45各警戒群