(一般会計) (部)政府資産整理収入 (款)国有財産処分収入 (項)国有財産売払収入
東海財務局で、昭和38年4月、随意契約により東洋プライウッド株式会社に愛知県春日井市所在元名古屋陸軍造兵廠鷹来製造所の土地32,997.05坪、建物6むね830.18坪、工作物等を116,802,560円(うち土地代104,930,700円)で売り渡しているが、売渡価格の評定が適切でなかったため、売渡価額が約2400万円低額となっていると認められる。
本件売渡価格のうち、土地の売渡価格の評定にあたっては、相続税課税標準価格を基とした価格坪当り3,214円と固定資産税課税標準価格を基とした価格坪当り3,236円とを平均して基準価格を3,225円とし、これから整地費105円を控除して算定評価格を坪当り3,120円と算出し、さらに、これと民間精通者の鑑定評価格として採用した価格坪当り3,234円(財団法人日本不動産研究所名古屋支所の3,000円、株式会社日本不動産銀行名古屋支店の3,200円、住友信託銀行株式会社名古屋支店の3,500円の3者平均価格)とを再平均し、坪当り売渡価格3,180円総額104,930,700円と決定している。
しかしながら、その評定内容についてみると、相続税、固定資産税の課税標準価格から時価を算出するにあたり使用する修正率の決定にあたって、相続税修正率(相続税課税標準価格を除する数値)については、管財局長通達に0.7以下と示されているのに、なんらの検討を加えることもなく最高値である0.7を採用し、また、固定資産税修正率(固定資産税課税標準価格に乗ずる数値)についても、春日井市の標準地の時価を同市追進町、松河戸町所在の2地点により算定し、これと当該地の固定資産税課税標準価格とを対比して8.5と決定しているが、標準地はともに本件売渡土地とは距離もへだたっており土地の状況も異なるばかりでなく、わずか2地点の標準地だけでは修正率決定の資料として十分とは認められず、いずれも実情にそわないものと認められる。
しかして、本院で調査した本件近傍地の売買実例18例から算定すると、相続税修正率は0.5程度、固定資産税修正率は12程度となるから、これにより計算すると相続税課税標準価格を基とした価格は坪当り4,500円、固定資産税課税標準価格を基とした価格は坪当り4,568円となる。
また、売買実例価格については、適当なものがないとして採用していないが、36年9月に前記近傍地の売買実例18例の一部である同市六軒屋町北馬喰付近の畑1,751坪を愛知製罐株式会社が坪当り4,300円で、また、同地付近の宅地522坪を37年9月に汐谷硝子株式会社が坪当り6,300円でそれぞれ購入したものがあり、売買実例価格の採用も可能であったと認められるので、これらを採用することとし、時点修正等をすると5,048円となる。
いま、仮に本院が調査した相続税および固定資産税の修正率ならびに売買実例価格に基づいて計算すると、土地代は坪当り価格3,917円総額129,249,444円となり、本件売渡価額中の土地代104,930,700円はこれに比べて約2400万円低額となる計算である。