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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 工事

用水路工事の施行にあたり工事費の積算および工事の設計が適切を欠いたため不経済となっているもの


(225) 用水路工事の施行にあたり工事費の積算および工事の設計が適切を欠いたため不経済となっているもの

(一般会計) (組織)農林本省 (項)土地改良事業費

 近畿農政局で、昭和38年4月、随意契約により大成建設株式会社に東条川農業水利事業導水路第6期工事を69,565,000円(当初契約額68,355,000円、ほかに官給材料12,476,909円)で請け負わせ施行しているが、開きょの岩掘さく等の積算およびコンクリート打設の設計が適切を欠いたため、約460万円が不経済となっていると認められる。

 本件工事は、開きょ延長1,795メートル、水路橋延長100メートル等を施行するもので、その予定価格69,569,000円(ほかに官給材料12,476、909円)についてみると、開きょ等の岩掘さく12,396立米は、さく岩機を使用して毎分50ミリメートルまたは70ミリメートルをせん孔し、掘さくずりを人力でトロに積み込み、運搬捨土することとし、1日の作業量38立米または63立米、立米当り685円または1,069円として12,280,572円、コンクリート打設3,712立米は、コンクリートを人力により運搬することとし、1日の打設量20立米、立米当り4,239円または4,630円として17,094,442円を積算したものである。

 しかしながら、本件工事は開きょ掘さく幅が3.35メートルで、上記作業の作業場は広く、かつ、作業量も大きいので、このような場合通常使用するさく岩機のせん孔速度はその性能により計算すると毎分250ミリメートルまたは300ミリメートルとなり、また、掘さくずりおよびコンクリートの積込み、運搬にはローダー、バッテリーカー等の機械を使用するのが通常であり、これによれば掘さく、積込み、運搬等の時間が短縮されて施行が効率的となるもので、当局の計算によっても、岩掘さく費は1日の作業量59立米または88立米、立米当り572円または836円計9,695,664円、コンクリート打設費は立米当り4,163円または4,554円計16,810,056円で足りた計算となる。さらに、上記開きょは、水圧等を考慮して全延長にわたり側壁の厚さを上部1メートルは20センチメートル、下部1メートルは平均40センチメートルとして施行しているが、うち990メートルは両側または片側が岩掘さく部分で、盛土部分のように水圧等を考慮する必要がないものであるから、岩掘さく箇所の側壁下部は上部と同様20センチメートル厚として設計すれば足り、これによればコンクリート量および岩掘さく量がそれぞれ200立米減少するため、コンクリート打設費において910,680円、岩掘さく費において165,352円計1,076,032円を節減することができたものと認められる。

 いま、仮に上記により工事費を再計算すると、岩掘さく費は9,530,312円、コンクリート打設費は15,899,376円で足り、その他の工事費を合わせると総額は77,345,528円となり、本件工事費に比べて約460万円を節減することができたものと認められる。