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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
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  • 物件

国有財産の管理が適切を欠いているもの


(235) 国有財産の管理が適切を欠いているもの

(自作農創設特別措置特別会計)

 自作農創設特別措置特別会計に所属する財産の管理が適切を欠いており、その根本的是正をはかる必要があることについては、昭和33年度、35年度および36年度の検査報告に掲記し、また、37年6月是正改善の処置を要求し、さらに、昭和37年度決算検査報告に掲記したところであるが、39年において、引続き同特別会計に所属する既墾地7,828町9反余、未墾地335,599町3反余のうち、既墾地160町1反余、未墾地15,904町4反余につき、東北ほか6農政局(注1) および北海道ほか17都府県(注2) ならびに関係市町村農業委員会について財産管理の状況を調査したところ、その後事務体制を強化し、財産管理の適正化および財産処分の促進等をはかっており、36、37両年度の検査報告で指摘した1,623件のうち881件を是正し、また、上記所属財産は前年度末に比べて73,155町8反余減少しているが、なお農林省の指導方針が十分徹底しないなどのため管理が適切を欠いているものが次表のとおりあり、一段と管理体制の強化をはかり、これらを是正することが緊要である。

態様 区分 件数 面積 摘要

農業上の用に供するため貸付けを行なっているもののうち他用途に転用されているもの

既墾地

28
町反畝
17

003
徴収すべき弁償金
4,742,948円
農業上の用に供しないことが明らかであるのに他用途に一時貸付けを継続しているもの 既墾地
未墾地
56
6
233
112
900
515
 
所在または境界が不明となっているもの 既墾地
未墾地
16
10
21
211
726
005
 
無断で使用されているもの 既墾地 50 133 105 徴収すべき弁償金
4,605,859円
未墾地 20 311 102
3,716,104円
無断で売却されているもの 未墾地 2 14 916  
農耕または開拓不適地を長期間保有しているもの 既墾地
未墾地
19
48
195
51656
401
715
 
既墾地 169 601 205 徴収すべき弁償金
9,348,807円
未墾地 86 52306 323
3,716,104円

いま、これら不当な事例のうちおもなものをあげると次表のとおりである。

(注1)  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局
(注2)  北海道、青森、岩手、宮城、埼玉、千葉各県、東京都、神奈川、富山、石川、愛知、滋賀各県、京都府、兵庫、広島、山口、福岡、熊本各県

 

都道県名 所在 種目 台帳面積 台帳価格

(農業上の用に供するため貸付けを行なっているもののうち他用途に転用されているもの)

東京都 江戸川区 3畝25歩 408
23年12月矢野某から買収したものであるが、買収と同時に石川某に農耕目的に貸し付けたところ、32年3月および36年6月中村某ほか1名に転貸され、転借人はこれを住宅用地として使用しているのに、貸付けを解除することもなく弁償金(39年3月までの計算額1,563,603円)の徴収その他適切な処置も講じていない。
世田谷区 4畝20歩 230
23年3月宮野某から買収したものであるが、買収と同時に鈴木某に農耕目的に貸し付けたところ、36年10月2畝23歩を借受人により住宅用地に転用され、また、残りの1畝27歩を奥村某に転貸され、転借入はこれを住宅および倉庫用地として使用しているのに、貸付けを解除することもなく弁償金(39年3月までの計算額404,628円)の徴収その他適切な処置も講じていない。
愛知県 稲沢市 2反2畝22歩 1,967
22年12月禅源寺から買収したものであるが、買収と同時に小谷野某ほか8名に農耕目的に貸し付けたところ、33年10月および36年5月奥田某ほか3名に転貸され、転借入はこれを住宅用地として使用しているのに、貸付けを解除することもなく弁償金(39年3月までの計算額825,818円)の徴収その他適切な処置も講じていない。

 (農業上の用に供しないことが明らかであるのに他用途に一時貸付けを継続しているもの)

東京都 西多摩郡瑞穂町 開拓用地 8反6畝20歩 1,871
29年7月および31年11月青田某ほか5名から買収したものであるが、31年11月ジャパマーハイツ企業組合に賃貸住宅用地として貸し付け、その施設が32年5月完成しており、将来においても農業上の利用目的に供しないことが明らかであるからすみやかに売り払うべきであるのに、一時貸付けを継続している。
神奈川県 足柄下郡橘町 6反3畝14歩 6,079
23年12月株式会社湘南製作所から買収したものであるが、35年3月久保田建材工業株式会社に工場用地として貸し付け、その施設が同年11月完成しており、将来においても農業上の利用目的に供しないことが明らかであるからすみやかに売り払うべきであるのに、一時貸付けを継続している。
福岡〃 田川市 2町3反5畝06歩 11,356
22年10月日本セメント株式会社から買収したものであるが、26年4月田川市に金川小学校用地として貸し付け、その施設が27年11月完成しており、将来においても農業上の利用目的に供しないことが明らかであるからすみやかに旧所有者に売り払わなければならないのに、一時貸付けを継続している。

(所在または境界が不明となっているもの)

福岡県 行橋市 開拓用地 3町3反9畝26歩 29,944
25年7月大蔵省から現地を確認しないで所管換を受けたものであるが、33年4月にいたり境界が不明であることが判明したのに、境界の確定その他適切な処置を講じていない。

(無断で使用されているもの)

岩手県 盛岡市 田、畑 9反9畝08歩 51,261
27年11月藤村某ほか9名から買収したものであるが、買収当時から盛岡市により仙北中学校用地として使用されているのに、弁償金(39年3月までの計算額2,720,031円)の徴収その他適切な処置を講じていない。
愛知〃 豊橋市 1反4畝17歩 1,234
23年2月田中某ほか1名から買収したものであるが、25年5月から豊橋市により津田小学校用地として使用されているのに、弁償金(39年3月までの計算額313,866円)の徴収その他適切な処置を講じていない。
熊本〃 熊本市飽託郡託麻村 開拓用地 20町2反1畝12歩 115,244
22年10月大蔵省から所管換を受けたものであるが、24年4月ごろから山本某ほか88名により農耕用地として使用されているのに、弁償金(39年3月までの計算額1,372,227円)の徴収その他適切な処置を講じていない。

(無断で売却されているもの)

千葉県 茂原市 開拓用地 1町3反7畝12歩 1,592
31年3月互助会開拓農業協同組合から買いもどししたものであるが、所有権の移転登記未済のうち同組合により36年2月から37年5月までの間に大忠商事株式会社ほか4名に売却され、うち1町22歩はさらに転売されて、いずれも買受人名義に登記済みとなっている。

(農耕または開拓不適地を長期間保有しているもの)

北海道 枝幸郡浜頓別町 開拓用地 348町1畝07歩 3,909,405
32年3月から35年3月までの間に浜頓別町ほか22名から買収したものであるが、海に近い砂の多い土地で、うち一部は湿地帯となっており、開拓に適しない土地であって土地配分計画も立てていないものであるのに、適切な処置を講じていない。
滋賀県 高島郡高島町 開拓用地 16町3反5畝18歩 21,194
23年10月万木某ほか1名から買収したものであるが、部落から離れた耕土の浅い山林、原野であり、かつ、飲料水等の水源もなく、開拓に適しない土地であって土地配分計画も立てていないものであるのに、適切な処置を講じていない。
兵庫〃 赤穂市 開拓用地 5町9反6畝06歩 65,606
29年3月福本某ほか4名から買収したものの一部であるが、急傾斜の山地で耕土も浅く、開拓に適しない土地であって土地配分計画も立てていないものであるのに、適切な処置を講じていない。