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  • 昭和38年度|
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農業共済保険事業の運営が適切でないもの


(242)−(251) 農業共済保険事業の運営が適切でないもの

(農業共済再保険特別会計)

 農業共済保険事業の運営が適切を欠いている事例については、毎年度の検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意してきたところである。昭和39年においては、主要農作物共済に関し青森県ほか10府県の73農業共済組合および3町(共済金426,102,405円)について調査を行なったところ、共済金の全部または一部を組合員に支払わなかったり、共済金を補償対象外の組合員を含め掛金、賦課金割等で配分したりしているなど共済金の経理当を得ないと認められるものが20組合において116,443,120円(国庫負担推定額7162万余円)あり、これを不当の態様別に示すと次表のとおりである。

府県名 調査済共済組合等数 調査済共済金額 共済金を組合員に全く支払わないもの 共済金の一部を組合員に支払わないもの 共済金を補償対象外の被害3割未満のものを含めて配分しているもの
組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額

青森県

7

56,274,195



1

5,617,350

3

24,480,750

4

30,098,100
岩手〃 6 21,674,288 1 1,134,475 1 1,134,475
福井〃 6 15,152,340 1 803,660 1 803,660
三重〃 15 125,065,288 4 38,869,550 3 15,847,000 7 54,716,550
大阪府 12 41,564,060 1 1,200,963 3 11,898,077 4 13,099,040
福岡県 5 37,469,475 2 16,325,370 1 265,925 3 16,591,295
51 297,199,646 1 1,200,963
((イ)1,200,963)
11 73,844,822
((ア)47,272,642)
((イ)21,409,218)
8 41,397,335
((ア)31,934,912)
20 116,443,120
((ア)79,207,554)
((イ)22,610,181)

備考 ( )内の数字の(ア)は正規の基準によらないで交付した共済金額、(イ)は目的外に使用した共済金額をうち書きしたものである。

 これら不当に経理された共済金のうち正規の基準によらないで組合員に交付したものが79,207,554円、補償対象外の組合員を含めて未収の掛金、賦課金等に充てているものが13,613,610円あり、また、残額23,621,956円はうち22,610,181円を目的外に使用し、1,011,775円を長期間未払いのままとしている。

 しかして、これら組合のうちには、被害が発生してから後に共済の引受けを行なったもの、保険金請求に際し実評価を上回る被害報告を行なったもの、共済金の一部を別途に経理してこれをそのまま掛金、賦課金に充当し、組合員からは掛金、賦課金を全く徴収していないものも見受けられた。

 いま、検査の結果判明した不当経理のうち、共済金を目的外に使用したものが1組合当り20万円以上のものをあげると次表のとおり10件22,487,422円あり、これらのうちとくに不当と認められる事例は次のとおりである。

(1) 大阪府堺市(旧福泉)農業共済組合で、37年産水稲および麦共済金809,189円、38年産麦共済金391,774円計1,200,963円を損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は全く支払うことなくこれを別途に経理して農作物共済、建物共済

等の掛金、賦課金、組合諸経費に充てており、また、組合員からは掛金、賦課金を徴収していない。

(2) 福岡県甘木市甘木農業共済組合で、37年産水稲共済金214,860円および同麦共済金568,335円を損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は麦共済金は373,071円を掛金割等で支払っただけで、残額195,264円を37年産水稲共済掛金、賦課金、組合諸経費に充てており、水稲共済に関しては共済金を全く支払うことなくこれをそのまま掛金、賦課金に充て、組合員からは掛金、賦課金を全く徴収せず事実上事業を休止していた。また、38年産麦共済に関しては引受けも行なわないこととしていたが、同麦の被害が著しくなったため、事業の適正運営をはかることとして共済事故発生後においてとくに引受けを行なったにもかかわらず、同麦共済金9,754,139円を損害評価書どおりの共済減収量717,541キログラムに対し支払うことなく、同麦共済面積416町5反に対し均等割で5,295,127円を支払っただけで、残額4,459,012円は3,455,555円を38年産水稲に対する支払資金、1,003,457円を同水 稲共済掛金、賦課金に充てていた。

農業共済保険事業の運営が適切でないものの図1

備考 共済目的欄中、37、38はそれぞれ37年産、38年産を略したものである。