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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

直轄工事の施行が不良なもの


(546)−(550) 直轄工事の施行が不良なもの

(一般会計) (組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費

(道路整備特別会計) (項)道路事業費

(治水特別会計) (治水勘定) (項)河川事業費 (項)受託工事費

 近畿ほか2地方建設局で、工事の施行にあたり、監督および検収が当を得なかったため施行が設計と相違していて設計に比べて工事の効果が低下していると認められるものが次のとおりある。

 (546)  近畿地方建設局で、昭和38年11月、随意契約により大成道路株式会社に5,527,000円で請け負わせ施行した高見道路拡幅工事は、39年2月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、上層路盤を設計と相違して施行したため、舗装全体の強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、淀川高見地区特殊堤裏小段に既存の幅員4メートル、延長294メートルの砂利道を、ラサ工業株式会社からの受託工事とあわせ幅員平均6.5メートル1,943平米のアスファルトコンクリート舗装道路に改良するもので、うち延長235メートル1,550平米の上層路盤およびアスファルトコンクリート層(工事費2,353,193円)は、設計書および図面によると、上層路盤は径30ミリメートル以下の砕石192立米を仕上り厚10センチメートルに敷きならして転圧し、その上に基層仕上り厚5センチメートルの粗粒式アスファルトコンクリートおよび表層仕上り厚5センチメートルの密粒式アスファルトコンクリートをそれぞれ施行することとなっているのに、実際は上層路盤は砕石を使用することなく、盛土と同質の山土で実施したにすぎないため路盤としての所定の強度が得られず、ひいて舗装全休の強度が設計に比べて著しく低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費171万円で仕上り厚10センチメートルのアスファルトコンクリートで被覆した旨の報告があった。

 (547)  中国地方建設局で、昭和38年5月、指名競争契約により錦建設株式会社に16,450,000円で請け負わせ施行した下入江護岸災害復旧工事は、38年10月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、練石張護岸の胴込コンクリートを設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、広島県高田郡吉田町下入江地先の郷川護岸延長200メートルの災害復旧を施行するもので、練石張護岸1,132平米の胴込コンクリート203立米(工事費1,049,035円)は、設計書および仕様書によると、立米当りセメント220キログラム配合のコンクリートで平米当り0.18立米を施行することとなっているのに、実際はモルタルと砂利とが分離した粗悪なもので施行し、つき固めも不十分であったなどのため、設計に比べて胴込コンクリートの強度が著しく低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費139万余円をもって張り直し工事を施行した旨の報告があった。

(548)  中国地方建設局で、昭和38年5月から11月までの間に、随意契約または指名競争契約により株式会社技工団ほか3会社に169,250,000円で請け負わせ施行した大峠改良工事第1工区ほか4工事は、38年9月から39年3月までの間に、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、法面保護のモルタル吹付工の施行が適切でなかったため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、1級国道9号線のうち山口市宮野地先から杖坂地先に至る延長計5、354メートルの道路を改修するもので、各工事における法面保護のモルタル吹付工38,886
平米(工事費27,280,398円)は、設計書および仕様書によると、モルタル吹付けは立米当りポゾランセメント500キログラム、砂1.1立米、R.G.A剤1.2キログラム配合のモルタルで平均5センチメートルの厚さに施行することとなっているのに、本院において抜取可能な27箇所につき施行状況を調査したところいずれも厚さが1.5センチメートルから3センチメートル程度となっており、施行法面の各所にき裂を生じている箇所や、はく落している箇所があったので注意したところ、当局においては全法面について施行厚を調査し、手直しを必要とする15,140平米について請負人の負担において工事費430万余円で施行厚の不足分を再吹付けした旨の報告があった。

(549)  四国地方建設局で、昭和38年6月、指名競争契約により新日本土木株式会社に69,525,000円で請け負わせ施行した1級国道33号線栄重道路改良工事は、39年3月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、1号割石練積擁壁を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められ、また、2号割石練積擁壁等の出来高において工事費186,000円相当額が不足している。
 本件工事は、延長521メートルの道路を改修するもので、うち1号割石練積擁壁949平米(工事費7,070,369円)は、設計書および図面によると、控40センチメートルの割石を使用し、胴込および裏込コンクリートは立米当りセメント220キログラム配合のもので平米当り0.5立米総量474立米、裏込ぐり石は粒径5センチメートルから15センチメートルの川ぐり石で平米当り0.53立米総量502立米を施行することとなっているのに、実際は石垣下部の胴込コンクリートはモルタル分が著しく不足しているため通水している状況であり、また、裏込ぐり石は大部分をぐり石に代え現地で発生した風化の著しい大きな岩くずを使用して施行しているなどのため、擁壁はすでにき裂を生じている箇所もあり、設計に比べて擁壁の強度が著しく低下しているものと認められる。
 また、2号割石練積擁壁677平米は平米当り裏込ぐり石0.15立米総量101立米を施行することとなっているのに、実際はうち244平米は設計どおりの切取りをすることなく施行したため裏込ぐり石37立米が不足しているなど工事費186,000円相当額が出来高不足となっている。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費114万余円で1号割石練積擁壁を鉄筋コンクリート格子わく工で補強し、2号割石練積擁壁等の出来高不足工事費相当額186,000円を返納させた旨の報告があった。

(550)  四国地方建設局で、昭和38年7月、指名競争契約により株式会社藤田組に27,130,000円で請け負わせ施行した1級国道11号線金蔵寺改良工事は、39年2月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、橋台練石張護岸および溝橋そで練石積みを設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、延長860メートルの道路を改修するもので、うち橋台練石張護岸および溝橋そで練石積み計525平米(工事費2,374,385円)は、設計書および図面によると、築石は控35センチメートルの割石を使用し、胴込コンクリートは立米当りセメント170キログラム配合のもので平米当り0.15立米総量78立米を施行することとなっているのに、実際は築石は控を面に使用しているものが多く、胴込コンクリートはその量が不足しているばかりでなく、つき固めも不十分な粗悪なもので施行しているため、築石を容易に抜き取ることができる箇所もある状態で、護岸等の強度が設計に比べて著しく低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費51万余円でモルタル注入工法により補強した旨の報告があった。