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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10 建設省|
  • 不当事項|
  • 補助金

災害復旧事業費の査定額を減額させたもの


(599) 災害復旧事業費の査定額を減額させたもの

(一般会計)

 地方公共団体が施行する公共土木施設の昭和38年発生災害復旧工事の査定を了したもの(建設省査定額62,816,019,000円)に対する検査は、査定額の比較的多かった青森ほか15県を選び、38年12月から39年3月までの間に、総工事数28,678箇所その査定額43,587,978,000円のうち7,072工事21,865,691,000円について実施した。

 その結果は、同一箇所の工事を建設省と農林省との双方で重複して査定しているもの、護岸の天ばは場所打ちコンクリートで足りるのにブロック張りとしたり、じゃかごの綱目を必要以上に小さく見込んだりするなど設計が過大となっているもの、または仮締切費を過大に見込んだり、工事費の計算を誤ったりしたなどのため積算が過大となっているものがあり、これらの査定工事費を適正なものに修正する必要があると認め当局に注意したところ、前記16県において次表のとおり716工事につき工事費において126,440,000円国庫負担金相当額95,870,000円を減額是正する旨の回答があった。

 なお、以上のほか、査定の時と状況が変化したため現場から近距離の地点で所要骨材を採取することができるようになったり、または査定と関係なく別途に工事を施行済みのため災害復旧工事として施行する要がなくなったりしたものを注意して減額是正させたものが、20工事につき工事費において8,049,000円国庫負担金相当額5,631,000円ある。

類別
建設省査定額 左のうち実地検査したもの 減額させた工事費
二重査定 設計過大 積算過大
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

青森

518
千円
1,258,810

319
千円
826,024

千円

3
千円
928

5
千円
242

8
千円
l,170
秋田 1,209 2,468,996 501 1,596,549     45 5,460 21 4,008 66 9,468
新潟 1,233 3,642,692 553 1,834,890



35 2,110 35 2,110
富山 650 1,245,634 343 768,583

1 65 25 1,783 26 1,848
石川 1,311 2,724,229 499 1,498,984

2 2,267 56 13,638 58 15,905
福井 985 2,579,778 369 1,438,799

10 5,461 32 4,671 42 10,132
岡山 4,011 6,633,726 589 2,435,498



79 11,274 79 11,274
広島 2,023 1,412,810 245 346,491

1 121 8 4,743 9 4,864
山口 2,626 3,929,620 536 2,572,612

4 6,342 62 6,114 66 12,456
愛媛 1,166 1,647,172 419 1,037,047



27 1,622 27 1,622
高知 2,864 3,710,798 652 1,572,096



61 7,812 61 7,812
福岡 2,362 2,958,824 466 1,532,459

4 146 80 23,097 84 23,243
佐賀 1,921 1,937,475 574 801,018

1 36 42 2,801 43 2,837
熊本 2,707 3,611,614 378 1,866,523 4 1,337 1 398 25 9,752 30 11,487
大分 1,597 1,887,752 365 1,027,393



29 3,590 29 3,590
宮崎 1,495 1,938,048 264 710,725



53 6,622 53 6,622
28,678 43,587,978 7,072 21,865,691 4 1,337 72 21,224 640 103,879 716 126,440

  しかして、上記の是正させたもののうち、おもな事例を示すと次のとおりである。

1 重複して査定されていたもの

 熊本県阿蘇郡産山村山鹿川砂防38年災害復旧は、査定額100,283,000円(国庫負担金79,424,136円)で流路延長1,691メートルを復旧することとしていたが、このうち、流路の掘さく556メートル1,640立米工事費463,000円(国庫負担金366,696円)は別途農林省所管の農地38年災害復旧その査定額2,376,000円と、また、護岸練積石垣の右岸側15メートル55平米工事費246,000円(国庫負担金194,832円)は水路護岸36年災害復旧その査定額178,000円と重複して査定されていた。

2 設計が過大と認められるもの

(1) 山口県萩市橋本川38年災害復旧は、査定額92,333,000円(国庫負担金61,586,111円)で堤防の法面および天ば10,004平米を練積石垣および練石張りで復旧することとしていたが、うち天ば部分2,335平米は練石張りに代えて厚さ20センチメートル程度のコンクリートを打設すれば足りるため、工事費4,689,000円(国庫負担金3,127,563円)が過大となっていた。

(2) 石川県小松市日田川38年災害復旧は、査定額29,349,000円(国庫負担金20,133,414円)で堤防の法面および天ば5,575平米を平張りコンクリートブロックで復旧することとしていたが、うち天ば部分1,463平米は平張りブロックに代えて厚さ15センチメートル程度のコンクリートを打設すれば足りるため、工事費2,188,000円(国庫負担金1,500,968円)が過大となっていた。

3 積算が過大と認められるもの

 広島県安佐郡安佐町細坂川38年災害復旧は、査定額22,960,000円(国庫負担金15,314,320円)で流路延長565メートルを復旧するもので、このうち流路の底張りコンクリートは厚さ30センチメートル、幅2.4メートル、延長488メートルであるから総量351立米となるのに計算を誤って1,171立米としたため、工事費4,080,000円(国庫負担金2,721,360円)が過大となっていた。