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  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 工事

高架橋高欄の施行が設計と相違しているもの


(603) 高架橋高欄の施行が設計と相違しているもの

(工事勘定) (項)東海道幹線増設費

 日本国有鉄道東京ほか2幹線工事局(注) で、昭和35年12月から38年9月までの間に、指名競争契約および指名競争後の随意契約により鉄建建設株式会社ほか13会社に東海道幹線品川附近(4k410m〜7k008m47)高架橋その他工事ほか17工事を工事費13,091,543,933円で請け負わせ、このうちパイプ型高欄工延長37,923メートル(工事費49,717,861円)については38年7月から39年6月までの間にそれぞれ設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、施行が設計と相違しているため、設計に比べてその強度が低下していると認められる。
 本件工事は、保線従事員の転落事故防止等のため高架橋の両側にパイプ型高欄を設置するもので、各幹線工事局においてそれぞれ設計、施行したものであるが、上欄、中欄および柱に使用することとしているガス管等についてその施行の状況を実地に検査したところ、設計より小径のものや肉厚のうすいもので施行するなど規格に適合しないもので施行しているため、いずれも高欄としての強度が設計に比べて低下していると認められる。
 しかして、上記のうち、おもな事例をあげると次のとおりである。

(1) 東京幹線工事局で、36年11月、指名競争契約により鉄建建設株式会社に請け負わせた東海道幹線品川付近(4k410m〜7k008m47)高架橋その他工事(工事費753,096,070円)のうち、工事費7,809,342円をもって施行した高欄パイプ取付工事延長4,267メートルは、上欄、中欄および柱とも1 インチのガス管を使用することとし、このガス管は日本工業規格により外径42.7ミリメートル、肉厚3.5ミリメートルと定められているのに、実際は外径38ミリメートル、肉厚2ミリメートルのもので施行したなどのため、その強度は高欄上部において1メートル当り55キログラムの外力に耐える設計となっているのに、実際は27キログラムにすぎない状況である。

(2) 大阪幹線工事局で、37年3月、指名競争契約により佐藤工業株式会社に請け負わせた東海道幹線草津地区(447k983 m〜450k656m)路盤その他工事(工事費1,017,123,797円)のうち、工事費4,857,440円をもって施行した高欄パイプ取付工事延長3,469メートルは、上欄および柱については2インチのガス管、中欄については1 インチのガス管を使用することとし、これらのガス管は日本工業規格により、2インチのものは外径60.5ミリメートル、肉厚3.8ミリメートル、1 インチのものは外径42.7ミリメートル、肉厚3.5ミリメートルと定められているのに、実際は上欄および柱は外径48ミリメートル、肉厚2.5ミリメートル、中欄は外径34ミリメートル、肉厚2.5ミリメートルのもので施行したため、その強度は高欄上部において1メートル当り70キログラムの外力に耐える設計となっているのに、実際は35キログラムにすぎない状況である。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費1,130,000円で補強工事を行ない、7,963,186円を返還または減額させる旨の報告があった。
 なお、静岡幹線工事局においても高欄延長2,649メートル(工事費4,329,892円)は本件と同様の施行状況であったが、本院の注意により設計変更を行ない、工事費806,500円を減額して検収している。

(注)  東京、名古屋、大阪各幹線工事局