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  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 工事

ケーブル埋設工事の施行が不良なもの


(609)−(610) ケーブル埋設工事の施行が不良なもの

(建設勘定) (項)電信電話施設費

 日本電信電話公社東海、近畿両電気通信局で、ケーブル埋設工事の施行にあたり、監督および検収が当を得なかったため施行が設計と相違していて設計に比べて工事の効果が低下していると認められるものが次のとおりある。

 (609)  日本電信電話公社東海電気通信局で、昭和37年7月、指名競争契約により日本電話施設株式会社に50,010,000円(当初契約額19,500,000円、ほかに支給材料81,269,891円)で請け負わせ施行した高山、下呂間、下呂、竹原間市外ケーブル方式工事は、39年1月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、そのうちケーブル直埋工事の転石、硬岩および玉石混り工程区間(工事費相当額12,696,371円)の施行が設計と相違しているため、ケーブル防護の効果が設計に比べて著しく低下していると認められる。

 本件工事は、高山、下呂間に架空ケーブル亘長28,498メートル、地下ケーブル亘長15,893メートルを施行するものであるが、このうち地下直埋ケーブル転石地区亘長6,674メートル(工事費相当額8,031,870円)、硬岩地区亘長1,752メートル(工事費相当額3,950,162円)、玉石混り地区亘長900メートル(工事費相当額714,339円)の布設工事は、その仕様において、標準実施方法により、転石地区については、掘さくした床付面の転石は、割り取るなどして細土を充てんし平たんに仕上げ、ケーブルを埋設し、ケーブルの上方10センチメートルまで細土を充てんして締め固め、硬岩地区については、ケーブル埋設にあたり、細土を上下それぞれ10センチメートルずつ充てんして締め固め、さらに防護コンクリートを厚さ15センチメートルまたは20センチメートルで岩盤に付着するよう施行し、また、玉石混り地区については、ケーブルの上方10センチメートルまで細土を充てんし締め固めることとしているのに、会計実地検査の際、転石地区14箇所、硬岩地区8箇所、玉石混り地区2箇所について調査したところ、転石地区では転石を割り取っていないなどのため転石に密着してケーブルを布設しているものや、ケーブルの上下に玉石程度の石塊を埋め込んでいるものがあり、硬岩地区では防護コンクリートの大部分が岩盤に付着しておらず厚さも8センチメートル程度で施行していたり、床付細土を施行していないためケーブルが床モルタルなどに密着していたり、石塊を混じた掘さく土で埋め込んだりしており、また、玉石混り地区ではケーブルの上に石塊を埋め込んでいるものがあり、しかも各地区の大部分は細土を充てんしていないなどの状況で、施行が著しく不良となっている。
 なお、本件に対しては、請負人の負担において再施行する旨の報告があった。

(610)  日本電信電話公社近畿電気通信局で、昭和38年9月、指名競争契約により近畿通信建設株式会社に8,790,000円(当初契約額6,890,000円、ほかに支給材料11,322,187円)で請け負わせ施行した上田上局区内市内支障移転工事は、39年2月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、そのうちケーブル直埋工事硬岩工程区間(工事費相当額3,990,980円)の施行が設計と相違しているため、ケーブル防護の効果が設計に比べて著しく低下していると認められるばかりでなく、工事費の精算が事実と相違しているため、工事費約83万円が過大に支払われていると認められる。 本件工事は、滋賀県上田上、桐生間に地下管路亘長567メートル、地下直埋ケーブル亘長2,775メートルを施行するものであるが、このうち硬岩地区としている直埋ケーブル亘長983メートルの布設工事は、その仕様において、標準実施方法により、床付細土を厚さ10センチメートルで充てんした上にケーブルを埋設し、ケーブルの上方10センチメートルまで細土を充てんして締め固め、その上部に5センチメートルの厚さに岩砕を敷き固め、さらに防護コンクリートを厚さ15センチメートルまたは20センチメートルで岩盤に付着するよう施行することとなっているのに、会計実地検査の際33箇所について調査したところ、防護コンクリートは配合の悪いきわめて粗悪なもので、コンクリートに空げきを生じ容易に破砕される状況であり、両側が岩盤に付着していない箇所や厚さ7センチメートルから10センチメートル程度で施行している箇所が多く、なかにはコンクリートに径15センチメートルから20センチメートル程度の石塊を混入しているためコンクリートがほとんどない部分もある状況であり、防護コンクリート下部の岩砕の充てんも全区間ほとんど施行せず、また、細土を施行していないためケーブルが床モルタルに密着していたり、ケーブルの上に石塊が乗っていたりしているなど施行が著しく不良となっている。

 また、硬岩地区として工事費を精算しているが、実際はうち延長335メートルが軟岩もしくは転石地盤または普通土であったので、これらは設計変更のうえ契約額を減額すべきであるのにこれをしなかったため、約83万円が過大に支払われた結果となっている。
 なお、本件に対しては、施行不良箇所については請負人の負担において再施行し、834,534円については契約額を減額して請負人から徴収する旨の報告があった。