ページトップ
  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 物件

ヒューズの素材の所要量等を過大に積算したため購入価額が高価と認められるもの


(613) ヒューズの素材の所要量等を過大に積算したため購入価額が高価と認められるもの

 日本電信電話公社で、昭和37年12月から38年11月までの間に、随意契約により日本通信機器工業協同組合からI−41407ヒューズ158,700個を単価182円総額28,883,400円で購入しているが、素材の所要量および部品価格の調査検討が不十分であったなどのため予定価格が過大となり、購入価額が約570万円高価となっていると認められる。
 本件ヒューズは、搬送用配線盤に使用するもので、34年5月、前記協同組合の組合員で、本件ヒューズの製作会社である東海通信工業株式会社から徴した見積書を参考として1個当り182円と算定し、同協同組合からその後引続き同額で購入しているものであるが、その予定価格の積算についてみると、

(1) ヒューズ100個当り材料費6,980円のうち、

(ア) バネプラグに使用する洋白板については、その所要量を0.8キログラムとし、キログラム当り価格2,460円を乗じて1,968円と積算しているが、本品の形状からみて廃材部分を少なくするよう板取りすればその所要量は0.357キログラム程度で足り、また、洋白板の価格は、公社で他の機器類の予定価格を積算する際に適用するキログラム当り価格2,310円を積算すれば十分であると認められ、これらにより計算すると825円となる。

(イ) バネプラグの受軸(A)、(B)および接触栓については、それぞれ1,600円、1,560円および
1,040円と積算しているが、本院の調査によれば、この種ねじ類の一般取引価格に比べて割高と認められ、それぞれ970円、940円および840円程度を積算すれば足りるものと認められる。

(ウ) ケースについては、素材費171円と次項(2)の加工費を加算しているが、実際は部外から800円で購入しているものであるから購入部品としてこの程度の額で積算するのが適当と認められる。
これらにより材料費を修正計算すると5,226円となる。

(2) ヒューズ100個当り加工費8,250円のうちホルダーおよびケースをフェノール樹脂成型粉で成型加工するに要する時間を11.3時間、バネプラグに使用する洋白板の打抜加工に要する時間を5時間とし、また、ケースに彫刻する記号の外注加工費として400円を積算しているが、ケースについては前記のとおり部外から購入部品として購入しているのであるから、加工費としてはホルダーの成型加工および洋白板の打抜加工に要する加工費を積算すれば足りるものと認められる。しかして、加工時間については、製作の実情を調査したところ、ホルダーの成型加工においては約4.2時間、洋白板の打抜加工においては約2時間となっているからこの程度で足り、また、加工単金については、これを175円と積算しているが、これは34年当時のものであり、実際には本件ヒューズの製作会社が別途公社に提出している同種物品の見積書の加工単金210円が相当と認められ、これらにより修正計算すると加工費は7,029円となる。
 いま、仮に材料費および加工費については以上各項により、その他は当局の積算をそのまま採用してヒューズ1個当りの価格を修正計算すると146円となり、総額では23,170,200円となって、本件購入価額はこれに比べて約570万円高価となっていると認められる。