日本住宅公団の昭和38事業年度末資本金は665億8141万余円(うち政府出資は現物出資68億8109万余円を含め645億8109万余円)で、前事業年度末に比べて98億2495万余円増加している。
38事業年度に実施した事業のうち、住宅建設では、計画戸数3万4千戸(賃貸住宅2万3千戸、分譲住宅1万1千戸)に対し34,363戸(賃貸住宅23,044戸、分譲住宅11,319戸)の請負契約を締結し、住宅建設費の債務負担済額は予算現額420億8816万余円に対し407億7480万余円で、前事業年度に比べて26億5802万余円増加し、支出決定済額は376億8250万余円である。しかして、上記発注戸数に対し前事業年度までに発注済みの分を含め年度内に完成したのは30,445戸(賃貸住宅21,053戸、分譲住宅9,392戸)である。また、同事業年度発注分の賃貸住宅1戸当り平均坪数は計画規模16坪に対し14.26坪となっている。
宅地造成では、買収計画坪数371万余坪(住宅用地276万坪、工業用地95万余坪)に対し374万余坪(住宅用地264万余坪、工業用地110万余坪)の契約を締結するなどし、宅地造成費の債務負担済額は予算現額201億4499万余円に対し172億5744万余円で、前事業年度に比べて126億3303万余円増加し、支出決定済額は150億1485万余円である。しかして、38事業年度中に譲渡した宅地の面積は計画坪数79万余坪(住宅用地34万余坪、工業用地45万余坪)に対し69万余坪(住宅用地24万余坪、工業用地44万余坪)となっている。
38事業年度の所要資金1076億8920万余円については、政府出資金80億円、資金運用部資金の借入金252億円、簡易生命保険及郵便年金積立金の借入金50億円、生命保険会社からの借入金310億円、家賃、分譲住宅等収入217億1286万余円、宅地譲渡等収入51億5733万余円、38年度から新たに発行した宅地債券による収入金9億4919万余円等を充当している。
38事業年度の損益は、住宅管理部門では家賃、分譲住宅収入等収益255億4289万余円、その管理費および原価等費用224億3482万余円、宅地管理部門では分譲宅地収入等収益66億2367万余円、その原価等費用65億4187万余円、特別住宅管理部門では家賃、政府交付金等収益1億3558万余円、その管理費等費用1億3886万余円で31億8659万余円の粗利益を生じ、これを減価償却引当金等諸引当金に繰り入れたため収益、費用とも同額の323億2759万余円となっており、前事業年度に比べてそれぞれ60億7767万余円増加している。
事業の執行にあたり、東京支所で、38年12月、39事業年度から賃貸住宅を建設するための用地として府中市所在の農地等5万4千余坪を10億1492万余円で買収するに際し、事前に関係機関との間に適切な連絡調整を行なうことなく取急ぎ売買契約を締結したため、農地転用の許可ばかりでなく、空地地区の指定変更も得られず当該土地を使用することができない現況となっているものがあるので、今後住宅建設用地の買収にあたっては関係機関との連絡調整について十分留意の要があると認められる。