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  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

水資源開発公団


第18 水資源開発公団

水資源開発公団の昭和38事業年度末資本金は5億円(全額政府出資)で、前事業年度末に比べて2億円増加している。
 38事業年度においては、前事業年度に引き続き、利根川水系における矢木沢ダム、下久保ダムおよび利根導水路の各建設事業ならびに淀川水系における高山ダム建設事業および長柄可動堰改築事業を実施したほか、新たに、利根川水系における群馬用水事業を総事業費81億6000万円の計画で実施し、また、従来農林省が施行していた印旛沼開発事業を承継または受託し、同省がすでに実施した額47億7094万余円を含め、総事業費151億8000万円の計画で実施している。

 38事業年度の建設事業実施額は、ダム建設事業55億2621万余円、用水路等建設事業46億9565万余円、印旛沼開発事業15億6300万円計117億8487万余円の計画に対し、ダム建設事業40億5387万余円、用水路等建設事業32億9457万余円、印旛沼開発事業10億2163万余円計83億7009万余円となっている。このように計画に比べて実施額が少なかったのは、高山ダム建設事業等で用地買収がはかどらなかったことなどによるものである。

 38事業年度の所要資金101億5065万余円については、政府出資金2億円、資金運用部資金の借入金29億5000万円、政府交付金20億0759万余円、国庫補助金1億6421万余円、水道等負担金29億6271万余円、受託業務収入10億4323万余円等を充当している。

 検査の結果についてみると、工事の施行にあたり予定価格の積算が適切を欠いているものが別項記載のとおりあるが、なお留意を要すると認められるものが次のとおりある。

(ア) 利根導水路の新設にあたり、資材費に対する諸経費の算定において、取扱いに特別の経費を要すると認められない生コンクリート、コンクリートブロック等の材料費について一般の経費率より低い特別の経費率を考慮すべきであると認められるのに、一般の経費率を適用しており、また、用水路等の掘さく費の算定において、本件工事現場は平たんな地形であるから掘さく機械の作業能力等の計算基礎となるバケットの旋回角度が135度または90度程度で作業が可能であると認められるのに、一律に180度または135度として掘さく費を算定している。

(イ) 下久保ダムの新設にあたり、地元神泉村に対し、小、中学校建物の移転関係費および移転に伴う通学道路の整備費総額8056万円を補償することとしているが、小、中学校の現在位置は工事現場から相当の距離があり、水没にも関係のないもので、このような補償は従来一般にその例を見ないものである。