ページトップ
  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第18 水資源開発公団|
  • 不当事項|
  • 工事

機械損料等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの


(615) 機械損料等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの

 水資源開発公団利根導水路建設局で、昭和39年3月、指名競争契約により大東建設株式会社および大木建設株式会社に荒川護岸工事第4・5工区および荒川護岸工事第6・7工区を計65,956,000円(当初契約額61,700,000円)で請け負わせ施行しているが、機械損料等の積算が適切でなかったため予定価格が過大となり、ひいて工事費が約1030万円高価となっていると認められる。
 本件両工事は、いずれも荒川取水堰の新設により水位が上昇する荒川の河岸を連けいブロック等により保護するための工事であるが、その予定価格の積算についてみると、

(ア) 両工事の切土合計40,081立米は、うち34,526立米を容量(バケットの容量。以下同じ。)0.3立米のドラグラインで施行することとしてその作業能力を1時間当り9.6立米とし、これにより燃料費および労務費を3,227,504円と積算している。
 しかしながら、容量0.3立米のドラグラインの1時間当りの作業能力は通常25立米程度とされており、これに比べて前記9.6立米は過少に失するものと認められるが、一般的に本件工事のように多量の切土を施行する場合は能率的な容量0.6立米のドラグラインを使用するのが通例であり、現に、本件工事に先だち本件工事現場に隣接して38年度に建設省が施行した同種工事でも容量0.6立米のドラグラインを使用し作業能力を1時間58立米として積算しており、その作業実績は1時間50立米程度となっている状況で、本件工事現場の条件は建設省施行のものとほとんど同一であるから、本件積算にあたっても前記建設省の実績程度で計算すれば足りるものと認められる。
 いま、仮に0.6立米のドラグラインで施行することとし、その1時間当り能力を前記建設省の実績に余裕を見込んで45立米として切土の燃料費および労務費を計算すれば、ドラグラインの規格変更に伴う作業方法の相違を考慮しても2,030、774円となり、本件積算額はこれに比べてl,196,730円過大となっていると認められる。

(イ) 両工事の切土合計40,081立米のうち、切落し土5,555立米および現場盛土等3,882立米計9,437立米を除く30,644立米の捨土は、7トン積みダンプトラックで 0.7キロメートルから3.6キロメートル運搬捨土することとし、その運搬能力について容量0.3立米のドラグラインの作業能力を考慮し、燃料費等の運転経費を3,530,644円と積算しているが、(ア)項同様、容量0.6立米のドラグラインを使用することとして計算すれば、ドラグラインの規格変更に伴う作業方法の相違を考慮しても1,624,071円となり、本件積算額はこれに比べて1,906,573円過大となっていると認められる。

(ウ) 両工事に使用する容量0.3立米のドラグラインおよび7トン積みダンプトラックの機械損料等を14,755,698円と積算しているが、(ア)項同様、容量0.6立米のドラグラインを使用することとして機械損料等を計算すれば6,540,146円となり、本件積算額はこれに比べて8,215,552円過大となっていると認められる。 以上各項により工事費を再計算すると、諸経費差額642,383円を含め総額55,558,762円となり、本件工事費はこれに比べて約1030万円高価となっていると認められる。