ページトップ
  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

雇用促進事業団


第21 雇用促進事業団

 雇用促進事業団の昭和38事業年度末資本金は223億6342万余円(うち政府出資214億4544万余円)で、前事業年度末に比べて62億5224万円増加している。

 38事業年度における一般業務のおもなものは、移転就職者用宿舎の建設10,368戸88億7807万余円、職業訓練の実施延22,485人16億9222万余円および福祉施設設置資金の貸付け58億0183万円の計画に対し、実績は移転就職者用宿舎の建設10,286戸(うち工事中のもの3,918戸)68億3546万余円、職業訓練の実施延18,874人16億6524万余円および福祉施設設置資金の貸付け26億3746万円で、このうち移転就職者用宿舎の建設が計画を下回っているのは、建設用地の買収がはかどらなかったため工事の着工が遅延したことなどによるものであり、また、福祉施設設置資金の貸付けが計画を下回っているのは、貸付先における住宅等の建設がはかどらなかったため資金を貸し付けることができなかったことなどによるものである。

 炭鉱離職者援護業務のおもなものは、労働者用簡易宿舎の建設1,210戸6億1260万余円、移住資金の支給22億3391万余円、雇用奨励金の支給3億3732万余円および労働者住宅確保奨励金の支給2億8325万余円の計画に対し、実績は労働者用簡易宿舎の建設1,095戸6億1260万余円、移住資金の支給17億1356万余円、雇用奨励金の支給3億3732万余円および労働者住宅確保奨励金の支給2億8325万余円となっている。

 これらの事業に要した資金は、一般業務については政府出資金62億5224万円、政府交付金17億0951万円、資金運用部資金の借入金28億円等のうちから、また、炭鉱離職者援護業務については国庫補助金26億5315万余円、政府交付金8億8530万余円、石炭鉱業合理化事業団交付金4億2366万円等のうちからそれぞれ充当している。

 38事業年度の損益は、一般業務にかかる会計(一般会計)においては、事業収益22億5662万余円、事業外収益1億5560万余円計24億1222万余円に対し、事業費用26億1349万余円、事業外費用458万余円計26億1807万余円で、差引き2億0585万余円の損失となっており、前事業年度に比べて収益で6億5801万余円、費用で7億8721万余円増加し、1億2919万余円の損失増加となっている。

 また、炭鉱離職者援護業務にかかる会計(特別会計)においては、収益41億4664万余円に対し、費用29億1112万余円で差引き12億3551万余円の利益となっており、前事業年度に比べて収益で22億2111万余円、費用で12億8764万余円増加し、9億3346万余円の利益増加となっている。このように本会計で12億3551万余円が利益となっているのは、収益として受け入れている国庫補助金、政府交付金等のうちに労働者用簡易宿舎の建設、移動宿舎の器材購入等の固定資産の取得に充てられたものが含まれていることによるものである。

 同事業団が、公共職業安定所の紹介によって就職する移転就職者に貸与するため建設しまたは建設工事に着手した移転就職者用宿舎は、38事業年度末までに79箇所12,370戸に達しているが、なかには入居開始後6箇月を経過しても入居率が50%に達していない箇所が相当見受けられ、これは主として設置場所についての配慮が十分でなかったことによるものと認められるので、今後の宿舎建設にあたっては、適地の選定について十分検討する要があると認められる。