ページトップ
  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

東北開発株式会社


第24 東北開発株式会社

 東北開発株式会社の昭和38営業年度末資本金は36億1000万円(うち政府出資35億0750万円)で、前営業年度末に比べて6億円増加している。

 38営業年度のおもな生産品等の販売計画は、セメント41万2千トン、カーバイド3万9千余トン、ハードボード1万余トンおよび造成土地8万2千余坪で、これに対する実績はセメント38万7千余トン、カーバイド4万2千余トン、ハードボード1万2千余トンおよび造成土地2万5千余坪となっている。

 新規事業は、直轄工場の整備等17億8900万円、投融資事業等7億5000万円計25億3900万円の計画に対し、実績は直轄工場の整備等7億6990万余円、投融資事業等4億5000万円計12億1990万余円で、計画に比べて13億1909万余円減少しているが、これは主として直轄工場の整備等が進ちょくしなかったことと、むつ製鉄株式会社および砂鉄原料株式会社に対する新規融資を取りやめたこととによるものである。また、前営業年度からのおもな繰越事業の実績は、直轄工場の整備等2億5615万余円、投融資事業等2億1438万余円である。なお、資産を譲渡のうえ融資に振り替えた額は東北ホモボード工業株式会社に8億3693万余円、むつ製鉄株式会社に1億6054万余円および砂鉄原料株式会社に6億3193万余円である。

 38営業年度の所要資金102億8038万余円については、政府出資金6億円、社債発行による収入金28億円、銀行からの借入金6億9800万円、営業収入45億5807万余円、前期繰越金12億2243万余円等を充当している。

 38営業年度の収益は47億0426万余円、費用は60億2997万余円で、当期損失金は13億2571万余円となっており、これを事業別等にみると、セメント事業で2億9254万余円、化工事業で2億8694万余円、ハードボード事業で2億1223万余円、土地造成事業等の関連事業で2億0464万余円、亜炭事業で7420万余円、さらに本社部門で2億5513万余円それぞれ損失を生じているものである。

 しかして、38営業年度末の欠損金累計額は資本金の98.8%に当たる35億6872万余円となっている。 

 東北開発株式会社では、砂鉄資源の開発をはかるため、33年以降調査研究および鉱区買収等をしてきたが、38年4月むつ製鉄株式会社および砂鉄原料株式会社の設立にあたり、両会社に対しその資本金の大半を占める6億9997万余円を出資し、また、その後砂鉄事業関係資産を譲渡のうえ融資に振り替えるなどして8億2247万余円を融資し砂鉄事業の企業化をはかったが、むつ製鉄株式会社では、鉄鋼価格が下落したこと、予定以上に多額の設備投資を要することなどにより採算の見通しがたたないため企業化の具体的実施計画を策定することができず会社発足以来実施した事業は用地買収等にとどまっている状況である。

 事業の執行にあたり、新たに購入したセメント製造用機械および装置(価格523,000,000円、年度末現在支払額355,150,000円)の取扱いにおいて、38年9月セメント製造装置のすえ付け完了後、出荷を急ぎ、試運転等所要の処置を講ずることなく操業を開始したため、故障が続発し休転等の事態を生じており、また、同装置の能力が契約に定める保証能力に達しない状態が継続していて、納入業者との間の責任の所在が不明確となっているばかりでなく、製造原価を増こうさせているものがあり、その処置が適切を欠いているものと認められる。