電源開発株式会社の昭和38営業年度末資本金は601億円(うち政府出資600億円)である。
38営業年度において設備の新設等を実施したものは、前営業年度からの継続および新規を合わせ、発電設備では池原等12地点の計画に対し12地点、送電設備では熊野幹線(森、池原間)等6線の計画に対し6線、変電設備では佐久間周波数変換設備等4箇所の計画に対し4箇所で、これらを含めた総設備資金額は、計画370億円に対し357億5601万余円で12億4398万余円の差額を生じている。
これらの設備資金については、資金運用部資金の借入金132億円、余剰農産物資金融通特別会計からの借入金26億円、社債発行による収入金157億円等を充当している。
38営業年度の収益は327億1346万余円、費用は326億4328万余円で、当期総利益は7017万余円となり、法人税等5938万余円を差し引いて、純利益は1079万余円となっている。これを前営業年度に比べると、収益で44億8498万余円、費用で44億7007万余円増加し、純利益で8万余円の増加となっている。
収益が増加したのは、若松火力、二又両発電所が出力を増加したこと、大鳥ほか2発電所が新たに発電を開始したことなどのため、販売電力量67億2196万余キロワットアワー、販売電力料303億3064万余円となり、前営業年度に比べてそれぞれ19.8%、15.6%の伸びを示したことなどによるものであり、一方、費用が増加したのは、前記発電所の新設等に伴う水力発電費、汽力発電費、支払利息等の増加によるものである。
事業の執行にあたり、注意を要すると認められるものが次のとおりある。
(ア) 小森発電所新設工事の施行にあたり、ダム本体コンクリートの打設に使用する型わく費の積算において、誤って、別途に計上されている橋脚等のコンクリート打設に使用する型わくの面積を所要面積に含めたため、工事費が過大となっている。
(イ) 黒又川第二発電所ほか3発電所新設工事の施行にあたり、取水路等ずい道工事のずり出し等にバッテリー機関車を使用することとして工事費を積算しているが、近時ディーゼル機関車が排気ガスの処理について相当改良されており、本件程度のずい道工事においてディーゼル機関車を使用している多数の工事事例からみて、本件工事の施行にあたっては、換気設備の設置状況を考慮すれば、バッテリー機関車に比べてけん引力が上回っているばかりでなく取得価額も低廉なディーゼル機関車を使用することとして積算すべきであったと認められる。