昭和37年12月から38年11月までの間に、法令、制度または行政に関して改善の意見を表示したものとして、昭和37年度決算検査報告に掲記した事項に対し、その後当局においてとっている改善処置の状況は、39年9月末現在、次のとおりである。
(1) 購入資材の規格について改善の意見を表示したもの (昭和38年11月25日付け38検 第553号 日本国有鉄道総裁あて )
資材の購入にあたり、規格が改定されているのに旧規格のものを購入したり、より有利な規格寸法のものがあるのにこれを採用しなかったりしたなどのため不経済な結果となっているものがあり、その適正化をはかるよう改善の意見を表示したところ、日本国有鉄道においては、次のとおりその改善をはかっている。
(1) 内燃機関部品等の購入規格について
設計図面の変更を関係箇所に徹底することについて、昭和38年7月に定めた工作局内規により図面変更に伴う事務手続きおよび連絡箇所等の明確化を促進するとともに、39年4月制定の車両管理規程(総裁達第178号)に基づいて工作局長が7月に定めた車両図面基準規程(工達第4号)により、図面管理者および図面表台帳を設けて図面に関する必要事項の登録および整理保管の適正化をはかり、これにより周知徹底を期するよう準備中である。
(2) 部内工場用酸素の購入規格について
溶接等に液体酸素を使用することについて、工場設備の将来計画を考慮した場合の酸素使用量を推定のうえ経済比較をすすめ、39年3月から大井工場において試用を始めるとともに、今後は前記経済比較に基づいて、結論を得た工場から逐次採用することとしている。
(3) 乗車券板紙および各種切符類の購入規格について
(ア) 乗車券(硬券)用板紙について、39年度第2四半期から新たに縦535ミリメートル、横400ミリメートルの規格のものを制定してロス率の低下をはかっている。
(イ) 小荷物切符等の紙質について、一時預り切符については、38年度下半期から上質紙のものを購入しており、小荷物切符ほか四種の用紙については、39年9月営業、資材両局長通達により、有利なクラフトパルプ半ザラシハトロン判132.5キログラムのものを試用することにした。
(2) 連絡運輸に伴う貨車使用料について改善の意見を表示したもの (昭和38年11月25日付け38検第554号 日本国有鉄道総裁あて )
地方鉄道等と締結している連絡運輸契約に基づいて直通運用を行なっている貨車の使用料に関する定額料金制度は、料金単価の設定根拠からみて不合理であり、また、貨車運用の実情にそわないものとなっていて日本国有鉄道に不利な結果をきたしていると認められるものがあったので、検討のうえ適正化をはかるよう改善の意見を表示したところ、日本国有鉄道においては、地方鉄道等との連絡運輸関係重要事項の協議を目的として設置されている運輸連絡会において本件貨車使用料金の改正につき協議するなど折衝中である。
(3) 道路建設工事の予定価格の積算について改善の意見を表示したもの (昭和38年10月30日付け38検第102号 日本道路公団総裁あて )
建設工事の予定価格の積算にあたり、施行技術の進歩および施行実績等が積算に反映していなかったり、積算基準の設定、統一について内部連絡、調整が十分でなかったりしているなどのため積算が適正を欠いていると認められるものがあり、合理的な積算基準の整備をはかるとともに、その適正な運用方法を部内に周知徹底するよう改善の意見を表示したところ、日本道路公団においては、昭和38年12月、本社内に工事積算基準検討委員会を設置して積算基準に検討を加え、その改善をはかることとし、土工、橋りょう、トンネル等各工種別にそれぞれ審議検討中であるが、指摘した事項についての是正改善状況は次のとおりである。
(ア) アスファルトプラント、ダンプトラック等の損料については、38年12月、とりあえず暫定案をもってアスファルトプラント、アスファルトフィニッシャーについては国産品の、また、ダンプトラックについては6トン車の損料をそれぞれ機械損料表に追加し、39年8月、正式に改訂した。
(イ) 組合せ使用する舗装用機械のか働時間については、各機械ごとに実か働時間を算定することとし、この本格的改訂について検討中である。
(ウ) 岩の掘さく歩掛りについては、39年2月、岩石機械掘削標準歩掛表を制定して、岩の分類基準、さく岩機運転費算定基準、岩の種類別掘さく単価算定基準等を明示し、積算の適正、統一をはかった。
(エ) 橋けたの設計重量については、39年2月、日本道路公団鋼材使用基準を制定し、鋼材の設計重量は正味設計重量とすべきことを明示し、その算出方法を明らかにした。
(オ)パワーショベルのバケットの旋回角度については、高速道路建設工事について、38年11月、現地状況に応じて旋回角度を算定するよう指示を行ない、また、一般道路建設工事について、12月、建設機械の作業能力の算定に関する積算基準を制定し、実情に応じた積算をするよう明示した。
(4) 会計経理事務の適正な執行について改善の意見を表示したもの (昭和38年10月30日付け38検第501号 雇用促進事業団理事長あて )
会計経理事務の執行にあたり、予算実施計画差引簿の記帳をそのつど行なっていないもの、総勘定元帳、現金出納帳、預金元帳等の記帳整理が十分でないものなど基本的事項においてさえ処理の適正を欠くものが多数見受けられたので、会計経理事務担当者の適正な配置を考慮するとともに、担当事務について計画的に研修を行なうなどして会計経理事務の習熟をはかり、各支部等に対する本部の機構を充実整備するなどの処置を講じ、会計経理事務執行の適正化をはかるよう改善の意見を表示したところ、雇用促進事業団においては、次のように機構、制度を整備するとともに、関係者に対する研修、指導を随時実施するなど改善に努めている。
(ア) 本部、各支部および各施設を通じて21名の事務職員を増員するとともに、職員の新規採用の際は企業会計事務処理の能力に重点を置いて選考するなど会計経理事務の処理体制強化に努めており、また、昭和39年7月、出納および決算事務の円滑化をはかるため本部に出納課を設置した。
(イ) 監査機構を充実するため、39年5月、本部に考査役を設け、監査計画の樹立およびその実施に当たらせることとした。
(ウ) 39年3月および6月、予算科目、勘定科目および同内訳科目の統合廃止等を行なって会計経理事務の簡素化をはかり、また、同年1月、物品管理規程を制定して物品管理事務の適正化をはかっている。