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  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 工事

直轄工事の施行が設計と相違しているもの


(212)−(219)  直轄工事の施行が設計と相違しているもの

(一般会計)(組織)農林本省 (項)土地改良事業費
(特定土地改良工事特別会計) (項)土地改良事業費
(国有林野事業特別会計) (国有林野事業勘定)(項)国有林野事業費
(治山勘定)(項)治山事業費

 東北農政局ほか5箇所で、工事の施行にあたり、監督および検査が当を得なかったため施行が設計と相違しているものが次のとおりある。

(212)  東北農政局で、昭和39年7月、指名競争契約により三幸建設工業株式会社に87,050,000円で請け負わせ施行した雄物川筋農業水利事業皆瀬1号幹線水路(その3)工事は、40年2月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、平板コンクリートブロック舗装水路の舗装ブロック連結鉄筋孔モルタル注入、盛土等の出来高において工事費1,038,000円相当額が不足しており、また、天ばコンクリートを設計と相違して施行したため、その効果が設計に比べて低下していると認められる。
 本件工事は、ブロック舗装水路延長2,748メートル等を施行するもので、設計書および図面によると、うちブロック舗装水路(工事費32,644,000円)は、舗装ブロック11,255平米の各ブロックの中孔に縦連結鉄筋をそう入した後、その空げきに平米当り0.0015立米総量16立米のモルタルを注入することとなっているのに、実際は3,955平米総量5立米を施行したにすぎず、また、盛土12,186立米は、水路の掘さく土を流用して整形することとなっているのに、実際は掘さく土の一部を仮置きしたままとしていて10,245立米を施行したにすぎないなどのため、工事費1,038,000円相当額が出来高不足となっている。さらに、天ばコンクリート164立米は、舗装の一体化をはかるため舗装ブロックの中孔にそう入した縦連結鉄筋の上端に横鉄筋を結束し、これを包んで幅30センチメートル、厚さ10センチメートルのコンクリートを打設することとなっているのに、実際は左右岸延長3,044メートルの91立米(工事費945,032円)は結束鉄筋が下方に曲げられたままこれを包むことなくその上にコンクリートを打設したため、舗装の一体化をはかる効果が低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費2,604,000円で手直しする旨の報告があった。

(213)  北陸農政局で、昭和39年5月、指名競争契約により鹿島建設株式会社に33,000,000円で請け負わせ施行した阿賀野川用水農業水利事業阿賀野川左岸護岸工事は、12月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、練石張護岸工事の胴込コンクリート等を設計と相違して施行したため、出来高において工事費856,000円相当額が不足している。
 本件工事は、護岸延長567メートル等を施行するもので、うち練石張護岸5,250平米(工事費10,893,957円)は、設計書および図面によると、胴込コンクリート平米当り0.12立米総量630立米を施行することとなっているのに、実際は平米当り0.09立米程度総量472立米を施行したにすぎないなどのため、工事費856,000円相当額が出来高不足となっている。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費1,828,000円で鉄線じゃかごおよびモルタル注入により補強した旨の報告があった。

(214)  北陸農政局で、昭和39年9月、指名競争契約により前田建設工業株式会社に54,280,000円(ほかに官給材料14,316,000円)で請け負わせ施行した阿賀野川農業水利事業新発田川自然排水幹線第21区改修工事は、40年3月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、練玉石張護岸および練石積護岸工事を設計と相違して施行したため、出来高において工事費657,000円相当額が不足している。
 本件工事は、排水路延長1,133メートル等を施行するもので、設計書および図面によると、うち護岸練玉石張り1,880平米(工事費2,156,589円)は、胴込コンクリート平米当り0.07立米総量131立米を施行することとなっているのに、実際は平米当り0.038立米程度総量71立米を施行したにすぎず、また、練石積護岸1,020平米(工事費2,727,622円)は、胴込コンクリート平米当り0.15立米程度総量153立米を施行することとなっているのに、実際は平米当り0.12立米程度総量122立米を施行したにすぎないなどのため、工事費657,000円相当額が出来高不足となっている。
 本件に対しては、請負人の負担において工事費845,000円でコンクリートてん充およびモルタル注入等により手直し補強した旨の報告があった。

(215)  青森営林局で、昭和39年4月、指名競争契約により大丸建設株式会社に6,054,395円で請け負わせ施行した大地沢えん堤工事は、8月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、コンクリートえん堤を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、コンクリートえん堤延長54メートル573立米を築設するもので、設計書および仕様書によると、立米当りセメント190.2キログラム配合のコンクリートで施行することとなっているのに、実際はうち右岸側堤体下部151立米、左岸側放水路天ばおよび水裏部の一部6立米計158立米(工事費1,335,049円)は、練混ぜおよびつき固めが不十分であったなどのため砂利とモルタルとが分離して堤体内部に空げきを生じ、すでに漏水している状況である。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費337,600円で補強した旨の報告があった。

(216)  青森営林局で、昭和39年9月、指名競争契約により東野某に3,504,303円(ほかに官給材料282,570円)で請け負わせ施行した市穴沢搬路工事は、12月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、うち橋台練石積み、橋脚および床固めを設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、幅員3.6メートル延長990メートルの治山事業用資材運搬路を新設するため橋りょう1箇所(木橋、橋長10メートル)、コンクリート床固め1箇所18立米、切土4,714立米等を施行するもので、設計書および仕様書によると、うち橋りょう(工事費708,785円)の橋台練石積み56平米は立米当りセメント183キログラム配合の胴込コンクリート平米当り0.25立米総量14立米を施行することとなっているのに、実際は上部39平米は築石の目地にわずかにモルタルを塗っただけで胴込コンクリートはほとんど施行しておらずから積み同様の状態となっているばかりでなく、下部16平米は平米当り0.18立米総量3立米程度を施行したにすぎず、橋脚コンクリート8立米は練混ぜおよびつき固めが不十分であったなどのため内部に空げきを生じており、橋台または橋脚としての強度が著しく低下していると認められる。また、コンクリート床固め(工事費291,596円)は、立米当りセメント183キログラム配合のコンクリートで施行することとなっているのに、実際は中央部8メートルの間13立米は、堤体表面を練混ぜおよびつき固めの不十分なもので厚さ20センチメートルから40センチメートル6立米で施行したにすぎないばかりでなく、その内部は砂利と砂だけの層となっており、また、両そで部5立米は練混ぜおよびつき固めが不十分であったなどのため内部に空げきを生じている状況で、コンクリート床固めとしての強度が著しく低下していると認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費545,777円で再施行および補強した旨の報告があった。

(217)  大阪営林局福井営林署で、昭和39年6月、指名競争契約により別府建設株式会社に4,088,130円で請け負わせ施行した入谷国有林第3号玉石コンクリートえん堤新設治山工事は、9月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、玉石コンクリートえん堤を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、玉石コンクリート416立米をコンクリート58立米で被覆し延長31メートル474立米の玉石コンクリートえん堤を築設するもので、設計書および仕様書によると、玉石コンクリートは配合比6:4、コンクリートは立米当りセメント225キログロム配合のもので施行することとなっているのに、実際はうち堤体の中央部および両そで部384立米は、玉石コンクリートは玉石の配列が粗雑となっているばかりでなく、コンクリートのつき固めも不十分であったため内部に多くの空げきを生じており、また、被覆コンクリートは打継目の施行が不良であったため、すでに漏水している状況である。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費620,549円で補強した旨の報告があった。

(218)  大阪営林局京都営林署で、昭和39年10月、随意契約により株式会社今井組に3,100,000円で請け負わせ施行した本谷国有林災害治山追加工事は、12月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、玉石コンクリートえん堤を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、玉石コンクリート167立米をコンクリート26立米で被覆し延長20メートル194立米の玉石コンクリートえん堤の築設等を行なうもので、うち玉石コンクリートえん堤(工事費1,857,417円)は、設計書および仕様書によると、玉石コンクリートは配合比6:4、コンクリートは立米当りセメント225キログラム配合のもので施行することとなっているのに、実際はうち堤体の中央部および両そで部157立米は、玉石の配列が粗雑となっているばかりでなく、コンクリートはいずれもつき固めが不十分であったため内部に多くの空げきを生じており、玉石コンクリートえん堤としての強度が著しく低下していると認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費525,924円で補強した旨の報告があった。

(219)  熊本営林局宮崎営林署で、昭和39年5月、指名競争契約により第一建設株式会社に5,270,000円で請け負わせ施行した本田野国有林床固めほか1新設工事は、8月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、玉石コンクリート床固めおよび護岸を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、玉石コンクリート床固め2箇所(下流床固め延長44メートル187立米、上流床固め延長15メートル60立米)および玉石コンクリート護岸延長72メートル462立米を築設するもので、設計書および仕様書によると、いずれも玉石コンクリートを配合比6:4で施行することとなっているのに、実際は下流玉石コンクリート床固めの堤体左そで部102立米、上流玉石コンクリート床固めの堤体右そで部12立米および玉石コンクリート護岸のうち57立米計172立米(工事費1,175,227円)は、いずれも玉石の配列が粗雑となっているばかりでなく、コンクリートのつき固めも不十分であったため内部に空げきを生じており、玉石コンクリート床固めまたは護岸としての強度が著しく低下していると認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費281,614円で補強した旨の報告があった。