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  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 工事

代行工事の施行にあたり処置当を得ないもの


(220)−(221) 代行工事の施行にあたり処置当を得ないもの

 (一般会計)(組織)農林本省(項)農用地開発事業費
 (特定土地改良工事特別会計)(項)土地改良事業費

 東北ほか1農政局で、代行工事の施行にあたり工事の設計が当を得ないため不経済となっていると認められるものが次のとおりある。

(220)  東北農政局で、岩手県に施行させている代行大牛内線開拓道路事業のうち、同県が昭和39年7月、指名競争契約により横屋建設株式会社に大牛内線開拓道路工事を21,013,000円(当初契約額21,700,000円)で請け負わせ施行しているが、道路センター設定の設計が適切を欠いたため約250万円が不経済となっていると認められる。
 本件工事は、道路延長932メートルを施行するもので、うち延長150メートルの区間(工事費2,721,153円)は谷側の法面が不安定であるとして道路のセンターを施工基面と原地盤線との交点から8メートルないし10メートル山側に寄せて設定し、掘さく8,290立米、盛土40立米、捨土8,250立米を施行することと設計したものである。
 しかしながら、本件道路の幅員は4メートルで、かつ、掘さく箇所の地形は谷側が浅く地盤も砂利混り土および硬岩で安定しているから、道路のセンターを上記のように山側に深く設定する必要はなく、道路の安定性を考慮して当局が修正した設計によっても、上記交点から4メートルないし6メートルの地点にセンターを設定すれば足りたものと認められる。
 いま、仮に上記により設計施行したとすれば、掘さくは3,645立米となるなどのため本件区間の工事費は771,241円で足り、その他の工事費を合わせると総額は18,512,000円となり、本件工事費に比べて約250万円を節減することができたものと認められる。

(221)  中国四国農政局で、徳島県に施行させている代行干拓建設事業米津地区のうち、同県が昭和39年8月、指名競争契約により佐伯建設工業株式会社に代行干拓建設事業米津地区埋立工事を12,452,000円(当初契約額12,350,000円)で請け負わせ施行しているが、排砂管受わくの設計が適切を欠いたため約100万円が不経済となっていると認められる。
 本件工事は、米津地区9.7ヘクタールの埋立て44,597立米を500馬力のポンプ式しゅんせつ船により施行するもので、そのしゅんせつに使用する排砂管の陸上受わく419組は、排砂管を埋立高から2.2メートル高い位置に配置するように設計し、これに埋立高30センチメートルまたは80センチメートル、原地盤に対する根入れ1メートルを加算して主柱の長さを3.5メートルまたは4メートルと決定し1組当り4,860円または5,160円計2,087,040円と積算したものである。しかしながら、排砂管は通常埋立高から50センチメートル程度高い位置に配管すれば足りるもので、これを修正した当局の設計によっても、配管の位置は、高潮時の水位についての考慮を要しない場所では50センチメートル、考慮を要する場所では1メートルとなり、受わく主柱の長さは1.8メートルまたは2.8メートルで足りた計算となる。
 いま、仮に上記により設計施行したとすれば、陸上受わく費は1組当り1,987円または3,675円計1,117,915円で足り、その他の工事費を合わせると総額は11,407,801円となり、本件工事費に比べて約100万円を節減することができたものと認められる。