ページトップ
  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 補助金

災害復旧事業費の査定額を減額させたもの


(534) 災害復旧事業費の査定額を減額させたもの

(一般会計)

 地方公共団体、土地改良区、森林組合等が施行する農業施設、山林施設、漁港施設の昭和39年発生災害復旧工事の査定を了したもの(農林省査定額30,273,107,000円)に対する検査は、査定済みの復旧事業費が4億円をこえる17道県のうち、北海道ほか14県を選び、39年11月から40年5月までの間に、農業施設2,022工事9,730,670,000円、山林施設234工事467,183,000円、漁港施設121工事613,209,000円計2,377工事10,811,062,000円について実施した。
 その結果は、同一箇所の工事を農林省と建設省との双方でまたは農林省部内で重複して査定しているもの、既存の施設が被災していなかったり、被害が軽微であつたりしているのに災害復旧の査定を受けて改良工事を施行しようとしているもの、被災前からその効用を失っていたため改良等を計画していたものを災害復旧として査定しているもの、護岸の法長、延長等を過大に見込んでいるもの、または機械施行が有利であるのに人力施行で積算しているものなどが依然として多数見受けられ、これらの査定工事費を適正なものに修正する必要があると認め、当局に対して注意したところ、前記15道県において次表のとおり農業施設で940工事1,174,136,000円、山林施設で41工事17,440,000円、漁港施設で34工事32,624,000円計1,015工事1,224,200,000円、国庫補助(負担)金相当額1,125,721,000円を減額是正する旨の回答があった。
 しかして、このように減額是正を要するものが多額に上ったのは、39年発生災害が新潟、石川、島根の3県に集中し、これが査定時における現地の調査が十分行なわれなかったことによるものと認められる。とくに新潟、石川両県の是正を要する額が744,850,000円(指摘総額の60.8%)の多額となっているのは、被害が他県に比べて激じんであったばかりでなく、新潟県においては新潟地震によるものが1,423工事7,952,457,000円(農林省査定額の26.2%)あり、地震災害に対する査定についてはその前例に乏しく被害の実情が十分は握されていなかったこと、また、石川県においては水路の復旧にあたり被害のない区間を含めて一定の計画により改良しようとしていたものをそのまま査定したことによるもと認められる。

 以上のほか、査定の時と状況が変化したため、災害復旧工事として施行する必要がないと判明したものを注意して減額是正させたものが5工事につき工事費において1,042,000円国庫補助金相当額824,000円ある。 なお、災害復旧事業費の査定については、査定額を減額させた事例を毎年度の検査報告に掲記して注意を促してきたところであるが、上記のように不当な事例が依然として多数に上っている状況であるので、第8節(5)記載のとおり40年11月改善の意見を表示した。

種別
\
道県名
農林省査定額 左のうち実地検査したもの 減額させた工事費
二重査定 改良工事その他 設計過大 積算過大 計
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額


千円
千円
千円
千円
千円
千円
千円
北海道 880 1,381,681 150 888,300

8 11,896 46 83,757 7 17,987 61 113,640
青森県 611 552,168 155 326,409

11 7,682 48 29,163 5 1,154 64 37,999
秋田〃 917 594,654 157 242,651 3 644 4 3,251 27 12,570 3 344 37 16,809
山形〃 518 511,912 38 96,745

3 2,596 5 10,921 1 113 9 13,630
福島〃 556 491,922 41 134,151

1 447 12 8,780 1 3,306 14 12,533
新潟〃 2,445 9,199,756 309 5,087,689 4 4,275 16 89,403 108 354,738 40 45,334 168 493,750
富山〃 1,129 1,283,592 278 392,380 1 798 9 4,697 70 42,224 18 3,592 98 51,311
石川〃 2,107 2,816,140 182 1,337,736

7 55,901 78 190,759 13 4,440 98 251,100
長野〃 784 884,188 148 294,565

4 5,450 35 9,535 7 1,111 46 16,096
兵庫〃 725 590,433 171 337,540

1 3,222 52 24,651 5 725 58 28,598
島根県 7,855 5,462,883 249 896,202 1 175 5 9,389 128 96,619 7 2,177 141 108,360
山口〃 1,612 593,807 211 186,932

26 11,608 56 10,394 10 846 92 22,848
高知〃 755 465,825 145 214,353

1 318 40 12,223 3 502 44 13,043
宮崎〃 772 526,424 99 149,765

3 1,577 50 13,766 5 1,065 58 16,408
鹿児島〃 685 723,947 44 225,644

3 2,360 17 22,987 7 2,728 27 28,075
合計 21,801 26,079,332 2,377 10,811,062 9 5,892 102 209,797 772 923,087 132 85,424 1,015 1,224,200

 しかして、上記の是正させたもののうち、おもな事例を示すと次のとおりである。

1 重複して査定されていたもの

 新潟県栃尾市栃堀下田水路39年災害復旧は、査定額7,678,000円(国庫補助金7,248,032円)で水路延長754メートルを護岸コンクリートブロック練積み909平米、暗きょ1箇所等で復旧することとしていたが、うち暗きょ1箇所および護岸延長22メートルのコンクリートブロック練積み33平米は別途建設省所管39年災害復旧その査定額2,728,000円の橋りょうおよびその付帯護岸と重複して査定されていた(減額させた工事費3,143,000円、国庫補助金2,966,992円)。

2 改良工事その他国庫補助(負担)の対象としてはならないもの

 石川県河北郡宇ノ気町余地川水路39年災害復旧は、査定額29,607,000円(国庫補助金28,926,039円)で護岸延長1,699メートルをコンクリートブロック練積み4,077平米等で復旧することとしていたが、被災したのはうち8箇所延長612メートルにすぎないのにこれを改良しようとしていたものである(減額させた工事費21,248,000円、国庫補助金20,759,296円)。

3 設計が過大と認められるもの

(1) 北海道浜益郡浜益村浜益川頭首工39年災害復旧は、査定額32,829,000円(国庫補助金28,955,178円)で井ぜき延長52メートルを復旧するもので、うち土砂吐け延長12メートルは可動ぜきとし、残りの延長40メートルは固定ぜきとして配合比1:2.5:5等のコンクリート882立米により井ぜきを新設するほか、付帯護岸延長111メートルおよび導水路延長26メートル等を施行することとしていたが、既設の井ぜきはコンクリート止水壁およびその下流に表面コンクリート張りの木工沈床を施行していたもので、その被災状況は右岸側延長26メートル間の表面張りコンクリートが欠損したり、えん体下部からの浸透水が増加した程度のものであるから、欠損部分に配合比1:3:6のコンクリート126立米を打設し、さらに止水壁の上流部に鋼矢板104枚を打設し、その上部に配合比1:3:6のコンクリート208立米を施行すれば足り、また、護岸のうち延長27メートルおよび導水路は施行の要がないなどのため、復旧費は21,679,000円となり、11,150,000円(国庫補助金9,834,300円)が過大となっていた。

(2) 新潟県岩船郡神林村石川機械排水路ほか1件の39年災害復旧は、査定額150,758,000円(国庫補助金142,778,724円)で地震により被害を受けた水路延長8,650メートルをコンクリート矢板42,481枚の打設等で復旧することとしていたが、うち護岸延長3,933メートル間は地盤の変動がほとんどないばかりでなく、その被害も土羽の一部にわずかな法くずれを生じた程度の軽微なものであるから除外し、また、矢板は長さ2.5メートルから3メートル、厚さ6ミリメートルまたは7ミリメートルのものを使用することとしているが、護岸高はいずれも1メートル程度のものであるから長さ2.1メートルから2.6メートル、厚さ6ミリメートルのもので施行すれば足りるなどのため、復旧費は95,761,000円となり、54,997,000円(国庫補助金52,092,538円)が過大となっていた。

(3) 石川県金沢市河原市水路39年災害復旧は、査定額64,960,000円(国庫補助金64,180,480円)で水路延長3,533メートルをコンクリートブロック練積み5,526平米、コンクリート擁壁352立米、底張りコンクリート1,092立米等で復旧することとしていたが、うち護岸延長1,530メートル間は既設の素掘水路の一部にわずかな法くずれを生じた程度の軽微な被害のものであるから除外し、護岸は高さ1.3メートル程度のものであるから水衝部等を除きコンクリートブロック練積みに代えから積みで施行すれば足り、また、底張りは延長476メートル間を除いて河床の低下がないから施行の要がないものであるなどのため、復旧費は41,062,000円となり、23,898,000円(国庫補助金23,611,224円)が過大となっていた。

(4) 島根県簸川郡斐川村十郎谷上水路39年災害復旧は、査定額8,484,000円(国庫補助金8,220,996円)で水路延長435メートルを護岸はコンクリートブロック練積み1,134平米、底張りは配合比1:3:6のコンクリート78立米で復旧することとしていたが、既設の水路は上幅1.4メートル、底幅0.8メートル高、さ1メートル程度の小断面のものであるから、コンクリートブロック練積みに代え配合比1:3:6の三面張りコンクリート総量406立米で施行すれば足りるため、復旧費は 5,068,000円となり、3,416,000円(国庫補助金3,310,104円)が過大となっていた。

4 積算が過大と認められるもの

 新潟県岩船郡粟島浦村釜谷漁港39年災害復旧は、査定額21,258,000円(国庫負担金21,151,700円)で地震により隆起した港内の岩盤3,511立米を破砕、しゅんせつするもので、全量を水中で施行することとし立米当り2,554円または5,273円と積算しているが、うち1,730立米は陸地となったものであるから陸上掘さくとして立米当り1,468円と積算すれば足りるなどのため、工事費は13,713,000円となり、7,545,000円(国庫負担金7,507,275円)が積算過大となっていた。