地方公共団体が施行した公共土木施設の建設、改良および災害復旧等の工事に対する国庫負担金または国庫補助金(以下「国庫負担金」という。)は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等の根拠法規に基づいて交付されるものである。昭和40年中、その経理および工事施行の状況について全国の工事現場66,713箇所のうち北海道ほか36都府県につきその10.8%に相当する7,224箇所(事業費148,504,730,853円、国庫負担金86,347,476,807円)を実地に検査したが、これを会計別にみると、一般会計においては災害復旧事業を主として3,155箇所、道路整備特別会計においては道路の改良事業等3,096箇所、また、治水特別会計においては砂防事業、中小河川改修事業等973箇所となっている。検査の結果は、工事の施行が不良なため工事の効果を著しく減殺しているもの、設計に対して工事の出来高が不足しているものまたは工事費の積算が過大となっているものがあり、国庫負担金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが、北海道ほか24都府県において63工事89,475,277円(うち一般会計分26工事27,932,686円、道路整備特別会計分27工事53,405,660円、治水特別会計分10工事8,136,931円)あり、このうち国庫負担金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第3のとおり57件88,534,327円である。
しかして、この種不当な事例が多数に上つているのは、主として、擁壁等のコンクリート工事、路盤および舗装工事等において、その施行にあたり、監督が十分でなかったり、検査が適確に行なわれなかったりしたこと、道路改良工事等におけるとくに土砂等の運搬および岩石の掘さく工事において、機械施行についての検討が十分でなく工事費の積算が過大となっているものがあることなどによるものであって、これらの諸点について一層の配慮が肝要と認められる。
なお、公共事業関係国庫負担金の経理については、不当と認めた事例を毎年度の検査報告に掲記して注意を促してきたところであるが、上記のように不当な事例が依然として多数に上っている状況であるので、第8節(8)記載のとおり40年11月改善の意見を表示した。