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  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10 建設省|
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災害復旧事業費の査定額を減額させたもの


(657) 災害復旧事業費の査定額を減額させたもの

(一般会計)

 地方公共団体が施行する公共土木施設の昭和39年発生災害復旧工事の査定を了したもの(建設省査定額72,141,154,000円)に対する検査は、査定額の比較的多かった青森ほか14県を選び、39年12月から40年3月までの間に、総工事数26,667箇所その査定額53,179,915,000円のうち7,268工事31,495,923,000円について実施した。
 その結果は、同一箇所の工事を建設省と農林省との双方で重複して査定しているもの、護岸の天ばは場所打ちコンクリートで足りるのにブロック張りとしたり、じゃかごの網目を必要以上に小さく見込んだりするなど設計が過大となっているもの、または多量の岩石の掘さくは機械を使用してせん孔すれば低価に施行することができるのに人力でせん孔することとしたり、工事費の計算を誤ったりしたなどのため積算が過大となっているものがあり、これらの査定工事費を適正なものに修正する必要があると認め当局に注意したところ、前記15県において次表のとおり667工事につき工事費において206,828,000円国庫負担金相当額168,887,000円を減額是正する旨の回答があった。

 以上のほか、査定の時と状況が変化したため現場から近距離の地点で所要の骨材を採取することができるようになったり、または査定と関係なく別途に工事を施行済みのため災害復旧工事として施行する要がなくなったりしたものを注意して減額是正させたものが、6工事につき工事費において1,699,000円国庫負担金相当額1,421,000円ある。 なお、災害復旧事業費の査定については、査定額を減額させた事例を毎年度の検査報告に掲記して注意を促してきたところであるが、上記のように不当な事例が依然として多数に上っている状況であるので、第8節(8)記載のとおり40年11月改善の意見を表示した。

類別
建設省査定額 左のうち実地検査したもの 減額させた工事費
二重査定 設計過大 積算過大
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

青森

839
千円
1,850,256

301
千円
995,396

千円

2
千円
551

14
千円
4,324

16
千円
4,875
秋田 1,197 2,169,923 322 1,164,351

1 129 14 1,324 15 1,453
山形 902 1,530,053 385 858,255

1 66 23 3,180 24 3,246
福島 661 1,597,962 410 824,860

1 108 31 3,971 32 4,079
新潟 3,385 15,142,471 1,177 9,790,774

9 15,305 100 50,826 109 66,131
富山 1,020 3,252,383 481 2,230,983

7 2,132 17 7,494 24 9,626
石川 1,968 3,696,915 624 2,319,042 1 497 3 810 48 27,514 52 28,821
福井 1,180 2,741,519 519 1,888,781



43 6,383 43 6,383
長野 1,398 3,614,428 312 2,124,108



19 4,467 19 4,467
兵庫 1,431 1,630,983 360 1,043,393

1 1,165 75 15,636 76 16,801
島根 6,024 7,982,818 744 4,281,129

11 2,567 74 23,011 85 25,578
山口 2,551 1,670,659 609 756,262

5 485 15 2,232 20 2,717
高知 810 1,351,519 263 986,276



48 8,909 48 8,909
宮崎 1,254 2,024,734 358 926,448

2 1,272 52 15,478 54 16,750
鹿児島 2,047 2,923,292 403 1,305,865

1 19 49 6,973 50 6,992
合計 26,667 53,179,915 7,268 31,495,923 1 497 44 24,609 622 181,722 667 206,828

しかして、上記の是正させたもののうち、おもな事例を示すと次のとおりである。

1 重複して査定されていたもの

 石川県金沢市市道12号線榎尾橋39年災害復旧は、査定額1,324,000円(国庫負担金1,027,424円)で橋りょう延長6メートルを復旧することとしていたが、このうち、そで護岸コンクリートブロック積みの右岸10メートルおよび左岸16メートル72平米工事費497,000円(国庫負担金385,672円)は、別途農林省所管の水路護岸39年災害復旧その査定額17,143,000円と重複して査定されていた。

2 設計が過大と認められるもの

 新潟県刈羽郡刈羽村別山川39年災害復旧は、査定額43,241,000円(国庫負担金40,343,853円)で護岸延長971メートルの法面および天ば4,849平米をコンクリートブロック積みおよびコンクリートブロック張りで復旧することとしていたが、うち天ば部分1,892平米はコンクリートブロック張りに代えて厚さ20センチメートル程度のコンクリートを打設すれば足りるため、工事費5,867,000円(国庫負担金5,473,911円)が過大となっていた。

3 積算が過大と認められるもの

(1) 新潟県東頚城郡松之山町東川39年災害復旧は、査定額126,866,000円(国庫負担金112,149,544円)で護岸延長245メートルを復旧するため河道掘さく110,147立米、片法わく84組、えん堤1基等を施行するもので、うち河道掘さくは77,103立米を水中掘さくとしているが、このうち10,644立米は低価な陸上掘さくとすべきものであり、また、片法わく84組のコンクリート方格材製作に使用する型わくの損料は平米当り180円であるのに誤って440円としているなどのため、工事費7,297,000円(国庫負担金6,450,548円)が過大となっていた。

(2) 島根県八束郡宍道町金山川39年災害復旧は、査定額36,252,000円(国庫負担金32,771,808円)で護岸延長2,672メートルを復旧するもので、このうちコンクリート擁壁2,672メートルに使用するバイブレーターの運転費は10メートル当り790円であるのに計算を誤って7,905円としたため、工事費2,135,000円(国庫負担金1,930,040円)が過大となっていた。