日本電信電話公社で、昭和38年12月から40年3月までの間に、随意契約により通信興業株式会社ほか3会社から1.6ミリメートル単心PVC線8,900,000メートルをメートル当り12円90から13円90総額119,730,000円で購入しているが、仕様が適切でなかったため、約3530万円が不経済となっていると認められる。
本件PVC線は、加入者保安器と加入者接地棒のリード線とを結ぶ地気線として使用するもので、29年9月、同公社でこれを仕様化し、その後引続き購入しているものであるが、同公社においては、接地棒のリード線および他の地気線については38年10月までにすべて廉価な日本工業規格による電線を使用するよう仕様を改訂し購入ているものであるから、本件PVC線についても日本工業規格による600ボルトビニル電線を購入しても支障がなかったものと認められる。
いま、仮に日本工業規格による600ボルトビニル電線を購入したとすれば、運送費を考慮してもメートル当り8円21から10円51総額84,360,000円となり、本件購入価額に比べて約3530万円を節減することができたものと認められる。
日本電信電話公社で、昭和39年3月から40年3月までの間に、随意契約により日立化成工業株式会社からケーブル成端用50号スリーブほか5点合計7,728個を単価143円から2,720円総額8,775,315円で購入しているが、使用材料の価格の調査が十分でなかったなどのため予定価格が過大となり、購入価額が約350万円高価となっていると認められる。
本件成端用スリーブは、局舎内で市内または市外ケーブルと局内ケーブルとを接続する箇所に使用するもので、内径50ミリメートルから196ミリメートル、肉厚2ミリメートルから10ミリメートル、長さ4メートルの硬質塩化ビニル管を400ミリメートルから600ミリメートルの長さに切断して製作するものであって、その購入にあたっては、34年8月、前記会社の前身である株式会社日立製作所(化学製品事業部)から徴した見積書の価格を参考として、予定価格を1個当り143円10(50号内径50ミリメートル、肉厚2ミリメートル、長さ400ミリメートル)から2,724円(200号内径196ミリメートル、肉厚10ミリメートル、長さ600ミリメートル)と算定し、これとほぼ同額でその後引続き購入しているものである。
しかして、本件成端用スリーブに使用する硬質塩化ビニル管は、仕様書によれば日本工業規格の品質に準じたものと明記されており、一般にも市販されていて、その取引価格は長さ4メートルのもので340円(内径50ミリメートル、肉厚2ミリメートル)から6,900円(内径196ミリメートル、肉厚10ミリメートル)程度で、これにより成端用スリーブの価格を計算すると、たとえば、購入価額の大部分を占める200号スリーブは、購入価格が1個当り2,720円であるのに対し、材料費1,150円、切断、仕上げ等に要する加工費および荷造運賃等452円計1,602円となるもので、その他の品形についても同様1個当り購入価格50号143円、75号285円、100号473円、125号637円および150号1,290円は、それぞれ93円、177円、293円、498円および768円となるものである。
いま、仮に本件成端用スリーブを前記価格により購入したものとすれば総額5,270,386円となり、本件購入価額はこれに比べて約350万円高価となっていると認められる。