海外移住事業団の昭和39事業年度末資本金は49億0996万余円(全額政府出資)で、前事業年度末に比べて8億8496万余円(うち現物出資2億8496万余円)増加している。
同事業団は、39事業年度において、各都道府県に地方事務所を開設し、また、外務省から移管を受けた横浜および神戸の移住あっせん所を移住センターとして発足させ、機構の拡充をはかった。
39事業年度の業務の計画のうちおもなものは、ブラジル国現地法人の分を含めて、移住者の送出および受入業務3億3254万余円、渡航費貸付3億3762万円、入植地業務2億3208万余円および事業資金貸付5億8761万余円で、これに対する実績は、移住者の送出および受入業務2億3559万余円、渡航費貸付1億0311万余円、入植地業務1億5912万余円および事業資金貸付3億1562万余円となっていて、渡航費貸付および事業資金貸付の実績が計画を大きく下回っているが、これは、同事業年度においても海外移住が低調であって移住者が少なかったことなどによるものである。
入植地業務については、39事業年度において、入植地85ロッテ2,398ヘクタールを造成し、150ロッテ3,513ヘクタールを分譲したが、分譲済地のロッテ割を変更したりしたなどの結果、39事業年度末の造成済地は2,508ロッテ60,070ヘクタール、分譲済地は1,439ロッテ35,283ヘクタールとなっている。
渡航費貸付および事業資金貸付については、事業団本部扱いの39事業年度末の貸付金残高は渡航費貸付53億6668万余円および事業資金貸付8億5192万余円となっている。しかして、弁済期限が到来して39事業年度に回収を要する元金は渡航費貸付6387万余円および事業資金貸付3億8628余円であるが、同事業年度に回収した元金は渡航費貸付169万余円(うち39事業年度末までに期限が到来していないもの76万余円)および事業資金貸付1億2079万余円(うち39事業年度末までに期限が到来していないもの573万余円)にすぎず、同事業年度末において弁済期限を経過した元金延滞額は渡航費貸付6294万余円、事業資金貸付2億7122万余円となっている。また、ブラジル国現地法人扱いの同事業年度末の貸付金残高は事業資金貸付8億9696万余クルゼイロで、このうち元金延滞額が4716万余クルゼイロとなっている。
39事業年度の所要資金については、政府出資金6億円、政府交付金10億2475万余円、資金運用部資金の借入金2億円、政府の一般会計からの借入金1億0311万余円(渡航費貸付資金)等を充当している。
39事業年度の同事業団の損益は、交付金収入9億8220万余円、受取利息9027万余円等の利益10億9557万余円、業務経費7億1088万余円、現地法人交付金1億4344万余円等の損失10億7399万余円で、差引き2158万余円の利益を生じ、これを前事業年度からの繰越損金9億2831万余円から差し引き、9億0673万余円を当期未処理損金として翌事業年度に繰り越している。
また、ブラジル国現地法人の損益は、ジャミック移植民有限責任持分会社で7406万余クルゼイロの純損失を生じ、イジュウシンコウ信用金融株式会社で865万余クルゼイロの純損失を生じたが、39事業年度において固定資産再評価益等により前期繰越損金を補てんしたため、当期未処理損金はそれぞれ8041万余クルゼイロおよび865万余クルゼイロ(40年3月31日の外国為替相場で換算すればそれぞれ1593万余円および171万余円)となっている。