電源開発株式会社の昭和39営業年度末資本金は611億円(うち政府出資610億円)で、前営業年度末に比べて10億円増加している。
39営業年度において設備の新設等を実施したものは、前営業年度からの継続および新規を合わせ、発電設備では水力発電設備として池原等9地点の計画に対し9地点、国の石炭政策に協力するため、新たに建設することとなった揚地石炭火力発電設備として磯子等3地点の計画に対し2地点、送電設備では池原尾鷲線等11線の計画に対し11線、変電設備では佐久間周波数変換設備等2箇所の計画に対し2箇所で、これらを含めた総設備資金額は、計画411億2186万円に対し356億5906万余円で54億6279万余円の差額を生じている。揚地石炭火力発電設備が計画どおり実施できなかったのは、高砂火力発電所の用地の取得ができなかったためである。
これらの設備資金については、政府出資金10億円、資金運用部資金の借入金192億円、余剰農産物資金融通特別会計からの借入金20億円、社債発行による収入金95億円等を充当している。
39営業年度の経常収益は354億5692万余円、経常費用は354億1987万余円で、当期総経常利益は3705万余円となり、法人税等2698万余円を差し引いて当期利益は1006万余円となっている。これを前営業年度に比べると、経常収益で27億4346万余円、経常費用で27億7658万余円増加し、利益で72万余円の減少となっている。
経常収益が増加したのは、池原ほか3発電所が新たに発電を開始したことなどのため、販売電力量70億8788万余キロワットアワー、販売電力料327億4674万余円となり、前営業年度に比べてそれぞれ5.4%、7.9%の伸びを示したことなどによるものであり、一方、経常費用が増加したのは、前記発電所の新設等に伴う水力発電費、汽力発電費、支払利息等の増加によるものである。
なお、発電所建設工事の請負人の決定にあたり、技術審査の方法および見積書の取扱いが適切でなかったり、見積制限価格を下回る見積りを無条件に排除したりなどして適正を欠くと認められるものがあったので、第4節(6)記載のとおり40年8月改善の意見を表示した。