日本航空機製造株式会社の昭和39営業年度末資本金は55億円(うち政府出資30億円)で、前営業年度末に比べて6億円増加している。
同会社の双発プロップジェット中型輸送機YS−11型の試作事業については、34年6月同会社発足以来設計、試作および試験を行なっており、39営業年度においては、前営業年度から引き続き試作機の改修工事等を8億6824万余円の計画で実施し、飛行試験等の結果、YS−11型は39年8月航空法(昭和27年法律第231号)の規定に基づく型式証明を受け、実用機として就航できることとなった。しかして、39営業年度末までに試作事業に要した費用は、同営業年度の実績額6億8097万余円を含めて総額56億6276万余円で、当初計画額41億9000万円に対し14億7276万余円の増加となっている。なお、航空機工業振興法(昭和33年法律第150号)の規定により繰延資産としている試作事業の費用は39営業年度末現在47億9746万余円である。
量産事業については、総生産機数を150機と予定し、36営業年度から試作事業と並行して事業を行なっており、39営業年度では前営業年度に引き続き量産機35機について機体の組立て、部品の製作等を実施し、同営業年度の実績額は計画額63億0627万余円に対し44億6781万余円で、同営業年度末までの実績額合計は84億7626万余円となっている。量産事業開始以来39営業年度末までに販売または製造請負契約を了している量産機は合計8機(概算契約を含め契約総額38億1184万余円)で、このうち3機は同営業年度内にはじめて生産が完了し引渡し済みである。
39営業年度の所要資金52億7031万余円については、政府出資金4億円、民間出資金2億円、社債発行による収入金23億円、売上収入10億1273万余円、前期繰越金13億0511万余円等を充当している。
39営業年度においては、量産機の引渡しに伴い売上収入等の収益17億4951万余円、売上原価等の費用26億1136万余円で、差引き8億6184万余円の損失を生じ、これに前営業年度からの繰越欠損金4億2420万余円を合わせ12億8605万余円を繰越欠損金として翌営業年度に操り越している。