昭和38年12月から39年11月までの間に、法令、制度または行政に関して改善の意見を表示したものとして、昭和38年度決算検査報告に掲記した事項に対し、その後当局においてとっている改善処置の状況は、40年9月末現在、次のとおりである。
(1) 自営電力施設の管理について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月17日付け39検第580号 日本国有鉄道総裁あて)
自営電力施設について、施行途中で中断している発電工事を完成したり、現有の発電設備やその運転方法等を改善したりするなどして経済的な運営に努めるよう改善の意見を表示したところ、日本国有鉄道においては、関東地区における運転用電力確保対策の一環として、施行途中で中断している信濃川水力発電第4期工事を第3次長期計画において完成させることとし、小千谷発電所の2号および3号発電機に使用するため昭和40年度に効率のよい新型羽根車1台を購入するよう準備中であり、40年6月から信濃川発電所調整池のたい積泥砂のしゅんせつを実施し、川崎発電所1号および2号発電機の運転がもっとも経済的になるよう負荷配分を改め、交流変電所等の遠方制御を第3次長期計画の一環として実施することとし技術的検討を行なっている。
(2) 高速自動車国道のコンクリート工事について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月26日付け39検第590号 日本道路公団総裁あて)
高速自動車国道の建設工事施行にあたり、コンクリートの配合設計に経済性の配慮が足りなかったり、その打設費の算定が実情にそわなかったりしているため不経済となっていると認められるものがあったので、コンクリート配合について経済的施行の認識に努め、打設費算定の積算基準の整備をはかるとともに、その適正な運用方法を部内に周知徹底するよう改善の意見を表示したところ、日本道路公団においては、高速道路土木工事施工取扱要領および構造物関係積算要領を定めコンクリート配合設計の算定方法を明示するなどの処置を講じている。
(3) 工事用材料の支給等について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月26日付け39検第591号 首都高速道路公団理事長あて)
高速道路建設のため使用する鉄筋等工事用材料についてその支給および管理等が十分でなかったため、工事費が割高となったり、生コンクリートの品質管理が不十分で仕様書に規定する規格以下のものをそのまま検収したりしていたものが認められたので、この種材料について適正かつ経済的な購入および支給を実施することができるよう部内の体制を整えるとともに、具体的な事務処理手続きの趣旨を部内に周知徹底するよう改善の意見を表示したところ、首都高速道路公団においては、鉄筋および生コンクリートについては、昭和40年4月以降従来行なってきた材料支給を廃止し、市場の実情を勘案してこれを請負人持ちとすることに決定し、生コンクリートの品質管理についてはその適正をはかるよう関係部門に通達するとともに、8月、請負人が生コンクリートを使用する場合、その製造業者および工場を指定する条項を特記仕様書に追加するなどの処置を講じている。
(4) 新線建設工事の予定価格の積算について改善の意見を表示したもの (昭和39年10月27日付け39検第538号 帝都高速度交通営団総裁あて)
新線建設工事の予定価格の積算にあたり、事前調査が不十分なまま積算をしているなどのため予定価格の積算が実情にそわず適正を欠いていると認められるものがあったので、先行工事の実績や所要資材の時価、工事の作業内容等のは握に努めるとともに、関連部門間の連絡調整や審査の徹底をはかり、適正な予定価格を算定するよう改善の意見を表示したところ、帝都高速度交通営団においては、昭和39年10月以降工事監督基準等内部基準の制定または改訂をし、また、建設本部内の積算および審査部門の強化をはかり、さらに、適正な積算基準を制定するため、建設本部内に予定価格積算研究会を設け、一般事項および各工種別の積算基準について審議検討するなどの処置を講じている。