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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項

通商産業省


第7 通商産業省

(中小企業高度化資金融通特別会計)

 昭和40年度歳入歳出決算額は、歳入34億9330万余円、歳出28億4525万余円で、これを歳入歳出予算額67億2040万余円に比べるとそれぞれ32億2710万余円、38億7515万余円の開差を生じている。これは工場団地、小売商業店舗および商業団地の造成等を行なうものが予定より少なかったなどのため道府県の貸付が予定より少なかったことによるものである。
 一方、北海道ほか44府県においては国から支出された高度化資金貸付金28億4525万余円に自己資金28億3743万余円、償還金等6億9619万余円を合わせ63億7887万余円を道府県の特別会計に受け入れ、工場等集団化資金貸付金64事項25億1577万余円、商工業協業化資金貸付金705事項24億1574万余円および商業集団化等資金貸付金15事項13億2175万余円計784事項62億5326万余円の貸付を行なっている。
 しかして、41年中、青森県ほか23府県における貸付事業について調査したところ、別項記載のとおり、高度化資金貸付金を財源とする県の貸付金の運営当を得ないもの がある。
 なお、工場等集団化資金貸付金については、経済不況等による借受者の資金難、団地進出意欲の低下などのため団地造成が整地の完了または一部建屋の建設程度で中止状態となったり、工場建屋が企業の進出がないまま遊休したりしているなど団地造成事業が計画どおり進ちょくしておらず、現状においては本資金貸付の効果があがっていないと認められるものがある。

 不当事項

 補助金

(291) 中小企業近代化促進費補助金を財源とする県の貸付金の運営当を得ないもの

 (一般会計) (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費

 中小企業近代化資金助成法(昭和31年法律第115号)に基づき都道府県が国の補助金と自己資金で特別会計を設けて中小企業者に貸し付け運営している設備近代化資金の貸付事業に対して、昭和40年度中、中小企業庁で国庫補助金4,147,279,000円を都道府県に交付し、都道府県は11,373事項15,062,492,000円の貸付を行なっているが、本院において、青森県ほか19府県における貸付325事項651,067,000円について貸付の当否および貸付金の使用状況を調査したところ、貸付の対象とならないものに貸し付けるなど資金の使用当を得ず、ひいて国庫補助金が所期の目的に反して使用されたと認められるものが、宮城、埼玉両県において3事項3,230,000円これに対する国庫補助金相当額1,586,200円あり、そのおもなものをあげると次のとおりである。
 埼玉県で、建設業者が設置するドーザショベル5,300,000円を貸付の対象として2,650,000円(国庫補助金相当額1,298,500円)を貸し付けているが、本件対象設備は既往年度に設置したもので貸付の対象とならないものである。

 その他

(292)−(297) 高度化資金貸付金を財源とする県の貸付金の運営当を得ないもの

 (中小企業高度化資金融通特別会計) (項)高度化資金貸付金

 中小企業近代化資金助成法に基づき都道府県が国の貸付金と自己資金で特別会計を設けて事業協同組合等に貸し付け運営している高度化資金の貸付事業に対して、昭和40年度中、中小企業庁で国の高度化資金貸付金2,845,251,000円を道府県に貸し付けているが、本院において、青森県ほか23府県における貸付160事項4,255,703,000円(うち38年度分685,654,000円、39年度分761,419,000円)について貸付の当否および貸付金の使用状況を調査したところ、対象施設を申請額より低額で設置したりまたは貸付の対象とならないものに貸し付けたりしているなど資金の使用当を得ず、ひいて国の貸付金が所期の目的に反して使用されたと認められるものが、宮城ほか5県において8事項23,328,332円これに対する国の貸付金相当額11,664,164円あり、そのうち1事項の国の貸付金相当額20万円以上のものをあげると次表のとおり6件22,622,469円これに対する国の貸付金相当額11,311,233円ある。

県名 貸付対象事業 年度 事業内容 事業費
同上に対する貸付額
不当事業費
同上に対する貸付相当額
左に対する国の貸付金相当額
(工場等集団化資金の分)


(292)

福島県 漆器工場等集団化事業 39 共同工場ほか19点 63,922,000
(31,160,000)
48,594,100
(9,612,550)
4,806,275
40 共同工場ほか35点 120,710,000
(60,355,000)
11,219,338
(5,609,669)
2,804,834
共同施設として貸付対象とした工場および倉庫29むね2,190坪は組合員個人の専用工場等として使用しているもので、共同施設としての貸付対象とはならない。

(293)

 同 木材木工工場等集団化事業

40

土地ほか4点 71,590,000
(35,795,000)
1,666,612
(833,306)
416,653
土地造成費5,300,000円のうち1,666,612円は砂利道の造成に要した費用で、貸付の対象とはならない。

(294)

栃木県 玩具工場等集団化事業 38 計算センターほか18点 265,800,000
(104,542,000)
2,327,779
(1,163,889)
581,944
39 共同門塀ほか38点 119,688,260
(58,950,000)
855,000
(418,500)
209,250
計算センターを15,002,000円で建設したこととしているが、実際は12,674,221円で建設し、また、共同門塀666メートルを1,998,000円で設置したこととしているが、実際は576メートルを1,143,000円で設置していた。

641,710,260
(290,802,000)
64,662,829
(17,637,914)
8,818,956
(商業集団化等資金の分)
(295) 群馬県 商店街近代化事業 39 店舗および倉庫 33,229,200
(11,076,000)
6,315,300
(2,105,100)
1,052,550
店舗および倉庫3,091平方メートルのうち587平方メートルは中小企業近代化資金助成法第2条に規定する中小企業者でない者の事業の用に供するもので、貸付の対象とはならない。
(商工業協業化資金の分)
(296) 宮城県 クリーニング業者共同施設設置事業 40 クリーニング工場ほか28点 10,733,300
(5,365,000)
4,872,010
(2,434,355)
1,217,177
貸付対象施設を11,433,000円(査定額10,733,300円)で設置したこととしているが、実際は低価で購入したものまたは購入していないものなどがあるため、5,861,290円で設置していた。
(297) 愛知県 自動車運送業者共同施設設置事業 40 給油設備ほか2点 2,941,000
(1,450,000)
915,200
(445,100)
222,550
給油設備ほか1点を2,345,600円(査定額2,345,000円)で設置したこととしているが、実際は1,429,800円で設置していた。

13,674,300
(6,815,000)
5,787,210
(2,879,455)
1,439,727

 

 

合計 688,613,760
(308,693,000)
76,765,339
(22,622,469)
11,311,233