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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第8運輸省|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの


(300)−(313) 公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの

(一般会計) (組織)運輸本省 (項)海岸等事業費 (項)港湾施設災害関連事業費 (項)港湾施設災害復旧事業費 (項)離島振興事業費
(港湾整備特別会計)(港湾整備勘定)(項)港湾事業費 (項)離島港湾事業費

 地方公共団体等が施行した港湾等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は、港湾法(昭和25年法律第218号)等に基づいて交付されるものである。昭和41年中、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場3,747箇所のうち北海道ほか16都県につきその26.2%に相当する985箇所(工事費13,389,154,565円、国庫補助金6,664,545,490円)を実地に検査したところ、工事の施行が不良なため工事の効果を著しく減殺しているものなどがあって、国庫補助金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが青森県ほか7都県(注) において17工事10,744,739円となっており、このうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると次表のとおり14件10,365,006円である。
 しかして、この種不当な事例は、主として護岸および防波堤のコンクリート工事等において、その施行にあたり、監督が十分でなかったり、検査が適確に行なわれなかったりしたことによるものであって、これらについて一層の配慮が肝要と認められる。

 (注)  次表に掲記した県のほか東京都

県名

工事

事業主体

工事費

左に対する国庫補助金 左のうち40年度までの交付済額 工事費から除外すべき額 左に対する国庫補助金相当額
うち41年度以降交付予定額中減額を要する額
(300) 青森県
 西津軽郡深浦町深浦港38年災害復旧 青森県 367,000 249,193 249,193 367,000 249,193
護岸延長41メートルの復旧にあたり、被覆コンクリート46立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際は水洗いをしていない砂を使用した配合の悪い粗悪なもので施行したため容易に破砕される状況で、被覆コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(301) 島根県
 浜田市浜田港39年災害復旧 島根県 740,000 625,300 596,232 433,000 365,885
(29,068)
護岸延長32メートルの復旧にあたり、擁壁コンクリート57立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はつき固めが不十分であったなどのため内部に多くの空げきを生じており、擁壁としての強度が著しく低下している。
(302) 島根県
 周吉郡西郷町西村港38年災害復旧 西郷町 6,450,000 5,869,500 5,869,500 1,621,000 1,475,110
防波堤延長40メートルの復旧にあたり、1個当り重量10トン内外の被覆石のならしは1,461平方メートルを施行したこととしているが、実際はならしの施行が粗雑であったため被覆石のかみ合せが不十分で多くの間げきを生じ、その間げきに1個当り重量50キログラムから200キログラム程度の間詰石をそう入しており、被覆石の一部はすでに崩落している。
(303)
 知夫郡西ノ島町美 田港改修 西ノ島町 7,100,000 7,100,000 7,100,000 949,000 949,000
防波堤延長42メートルの新設にあたり、堤体取付部延長18メートル154立方メートルは配合比1:3:6のコンクリートで施行したこととしているが、実際は練直しおよびつき固めがきわめて不十分であったため内部に多くの空げきおよび砂利だけの層を生じており、コンクリートとしての強度が著しく低下している。
14,290,000 13,594,800 13,565,732 3,003,000 2,789,995
(29,068)
(304) 山口県
 大島郡東和町白木港高潮対策(第2工区) 山口県 2,270,000 1,135,000 1,135,000 920,000 460,000
護岸延長272メートルの改良にあたり、胸壁コンクリート255立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち上部157立方メートルはつき固めがきわめて不十分であったためモルタルと粗骨材とが分離して内部はほとんど粗骨材だけとなっており、コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(305) 香川県
 丸亀市青木港改修 丸亀市 9,413,000 9,413,000 9,413,000 972,000 972,000
防波堤延長158メートルの新設にあたり、擁壁コンクリート408立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち内港側延長60メートル149立方メートルは練混ぜおよびつき固めがきわめて不十分であったためモルタルと粗骨材とが分離して内部に多くの空げきを生じており、擁壁コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(306) 香川県
 木田郡庵治村久通港局部改良 牟礼町 5,343,000 1,781,000 1,781,000 760,000 253,333
物揚場延長155メートルの新設にあたり、護岸の上部コンクリート373立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち延長52メートル104立方メートルはつき固めが不十分であったため内部に多くの空げきを生じており、すでに各所にき裂を生じている。
(307)
 小豆郡土庄町馬越港地盤変動対策 土庄町 2,854,000 1,902,666 1,902,666 649,000 432,666
護岸延長111メートルの改良にあたり、被覆コンクリート196立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち延長35メートル63立方メートルは水を多量に使用した配合の悪い粗悪なもので施行し、そのつき固めも不十分であったため内部に多くの空げきを生じており、被覆コンクリートとしての強度が著しく低下している。
17,610,000 13,096,666 13,096,666 2,381,000 1,657,999
(308) 愛媛県
 喜多郡長浜町長浜港防波堤改修 愛媛県 1,686,100 674,440 674,440 1,686,100 674,440
防波堤延長49メートルの新設にあたり、上部コンクリート272立方メートルは配合比 1:3:6 で施工したこととしているが、実際はつき固めが不十分であったため内部に多くの空げきを生じており、コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(309) 福岡県
 大牟田市大牟田港高潮対策(14工区の1) 福岡県 3,711,000 1,484,400 1,484,400 3,711,000 1,484,400
護岸延長142メートルの改良にあたり、基礎コンクリート51立方メートル、被覆およびかさ上げコンクリート436立方メートルはいずれも配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際は基礎コンクリートの全量および被覆コンクリートの下部171立方メートルは配合の悪い粗悪なもので施行したため容易に破砕される状況で、護岸としての強度が著しく低下している。
(310) 長崎県
 壱岐郡石田村壱岐空港整備 長崎県 9,328,000 9,328,000 9,328,000 1,207,000 1,207,000
滑走路等の整備にあたり、ぐり石張側溝延長1,112メートルはメートル当り粒径15センチメートル内外の割ぐり石0.24立方メートル総量267立方メートルを張り立て、目つぶしモルタル総量89立方メートルを施行したこととしているが、実際はぐり石の8割程度は規格外の大小不ぞろいなものを使用し、その敷並べが粗雑となっているばかりでなく、目つぶしモルタルも総量55立方メートル程度を施行したにすぎず、ぐり石張としての強度が著しく低下している。
(311)
 北高来郡飯盛町田結港高潮対策 長崎県 20,597,784 10,298,892 10,298,892 1,213,000 606,500
護岸延長204メートルの新設にあたり、波返しコンクリート482立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち延長102メートル174立方メートルはつき固めが不十分であったためモルタルと粗骨材とが分離して内部に多くの空げきを生じており、波返しコンクリートとしての強度が著しく低下している。
(312)
 南松浦郡玉之浦町玉之浦港局部改良 長崎県 5,912,000 2,956,000 2,956,000 1,778,000 889,000
防波堤延長30メートルの新設にあたり、上部コンクリート219立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はつき固めが不十分であったなどのためモルタルと粗骨材とが分離して内部に多くの空げきを生じており、コンクリートとしての強度が著しく低下している。また、被覆捨石116立方メートル、同ならし184平方メートルを施行したこととしているが、実際は被覆捨石63立方メートル、同ならし111平方メートルを施行したにすぎないなどのため工事費277,000円相当額の出来高が不足している。
(313)
 佐世保市佐世保港39年災害復旧および災害関連 佐世保市 2,030,000 1,288,378 1,288,378 547,000 346,479
護岸延長132メートルの復旧にあたり、被覆コンクリート200立方メートルは配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際はうち延長96メートル73立方メートルはつき固めが不十分であったため内部に多くの空げきを生じているばかりでなく、一部には玉石を混入しており、被覆コンクリートとしての強度が著しく低下している。
37,867,784 23,871,270 23,871,270 4,745,000 3,048,979
合計 77,801,884 54,105,769 54,076,701 16,813,100 10,365,006
(29,068)