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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第10 労働省|
  • 改善の意見を表示した事項

都道府県労働基準局および労働基準監督署における経理について


都道府県労働基準局および労働基準監督署における経理について

(昭和41年9月16日付41検第267号)

 都道府県労働基準局および労働基準監督署(以下「局署」という。)について、昭和41年中、その経理を検査した結果、次のとおり適切を欠き改善の処置を要すると認められるものがある。
 全国46労働基準局および管内労働基準監督署において、40年4月から41年6月までの間に、労働基準協会等の団体(以下「協会」という。)から調査費、研究費、協力費等として現金を受領したり、管内事業場に対し関係法規の解説書等の刊行物もしくは安全用品等の売りさばきをあっせんしまたは刊行物に掲載する広告を募集して手数料を受領したりする方法により68百万余円(39年度からの繰越額を含む。)を保有し、これを各種の会議に要する経費、職員の福利厚生のための経費、旅費、庁用の諸雑費等の支払に充てているものがある。このうちには、局署の業務に関連する会議に要する経費、事業場の指導調査に要する旅費、局署で使用する消耗品の購入経費等に充てたものがあり、これらはいずれも国費で支弁すべきものであるのに、上記のような取扱によったのは予算の制をみだすものであって処置当を得ないものと認められる。

 このような事態を生じているのは、協会の事務所が局署の庁舎内にあったり、局署の職員が協会の経理事務に関与したりしていたため局署と協会との業務が混同される傾向があったこと、局署において適正に経理を執行する認識に欠けていたことなどから、安易に協会等から金員の提供を受けていたことによるものと認められる。このような取扱については、労働省においても各労働基準局長に対して前記のような資金を保有しないよう指示したところであるが、協会との関係等については従前から適正を期するよう数次にわたり指示していたにもかかわらずなお前記のような事態が生じていることにかんがみ、局署に対する指導、監督を強化するなどして、厳正な経理の執行を確保する要があるものと認められる。
 また、労働基準監督署のうち37箇所において協会所有の折りたたみいすほか74品目824点を無償で使用しているものがあるが、これは監督官署における会計経理として処置が適切を欠くものである。このような事態については、労働省においても従前から是正するよう注意しているところであるのになお是正されていない状況であるので、局署に対する指導監督をさらに徹底するなど適切な処置をとる要があるものと認められる。