雇用促進事業団の昭和40事業年度末資本金は459億8318万余円(うち政府出資450億6520万余円)で、前事業年度末に比べて134億6491万余円増加している。
40事業年度の一般業務の計画のうちおもなものは、移転就職者用宿舎の建設12,676戸117億3195万余円、職業訓練の実施27億5602万余円および福祉施設設置資金の貸付105億1006万円で、これに対し実績は、移転就職者用宿舎の建設11,360戸(うち工事中のもの7,224戸)65億4021万余円、職業訓練の実施25億4703万余円および福祉施設設置資金の貸付51億3731万円となっている。このうち移転就職者用宿舎の建設が計画を下回っているのは、建設用地の買収がはかどらなかったため工事の着手が遅延したことなどによるものであり、また、福祉施設設置資金の貸付が計画を下回っているのは、貸付先における住宅等の建設がはかどらなかったことなどによるものである。
炭鉱離職者援護業務の計画のうちおもなものは、移住資金の支給7億4923万余円、雇用奨励金の支給8億1696万余円、労働者住宅確保奨励金の支給8億2364万余円および再就職奨励金の支給3億2698万余円で、これに対し実績は、移住資金の支給1億6557万余円、雇用奨励金の支給4億6566万余円、労働者住宅確保奨励金の支給3億2708万余円および再就職奨励金の支給1億0045万余円となっている。
40事業年度の所要資金は、一般業務については政府出資金134億6491万余円、政府交付金27億6800万円、資金運用部資金の借入金46億円等を、また、炭鉱離職者援護業務については国庫補助金として受領した21億3493万余円のうち8億8410万余円および石炭鉱業合理化事業団交付金として受領した1億7822万余円のうち1億4651万余円等をそれぞれ充当している。しかして、炭鉱離職者援護業務にかかる国庫補助金および石炭鉱業合理化事業団交付金は計12億8253万余円の使用残額を生じ、これを前受金に計理して翌事業年度に繰り越しているが、これは実績が計画を大きく下回ったことによるものである。
40事業年度の損益は、一般業務にかかる会計(一般会計)においては、収益43億8901万余円に対し、費用48億4196万余円で、差引4億5295万余円の損失となっており、また、炭鉱離職者援護業務にかかる会計(炭鉱離職者援護事業特別会計)においては、収益15億0603万余円に対し、費用17億8144万余円で、差引2億7540万余円の損失となっている。
検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。
雇用促進事業団では、広域職業紹介活動にかかる公共職業安定所の紹介によって就職する移転就職者に貸与することを目的として、移転就職者用宿舎を建設しており、昭和40事業年度においては39事業年度中に着工したものを含め11,360戸(用地費および工事費計約125億円)の建設を行なっているが、このうち、愛知県額田郡幸田町所在の幸田六栗ほか4箇所440戸(用地費および工事費計4億8152万余円)については、各建設用地買収当時、すでにその付近に移転就職者用宿舎5箇所560戸が設置されており、これらの入居率は11%から48%と著しく低いばかりでなく、さしあたり、これらの箇所には本件のように多数の宿舎増設を必要とするような格別の事由があるとは認められないものであるから、今後、移転就職者用宿舎の建設にあたっては、既設宿舎の入居状況等をも十分勘案して建設箇所を選定するよう配慮する要があると認められる。