(一般会計)
昭和42年度歳入歳出決算額は、歳入29億1137万余円、歳出1197億4260万余円で、歳出決算額のうちおもなものは、港湾整備ほか2特別会計に対する繰入金419億7978万円、国が直轄で施行した空港整備等の事業費104億5881万余円、地方公共団体等に対する国庫補助金等241億9653万余円である。
検査の結果、別項記載のとおり、公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの があるほか、次のとおり留意を要すると認められるものがある。
空港整備事業費負担金は、空港整備法(昭和31年法律第80号)の規定により、主要な国内航空路線に必要な飛行場として運輸大臣が設置管理する稚内ほか16の第二種空港で、滑走路、着陸帯、誘導路、エプロンの新設、改良または災害復旧の工事を施行する場合、当該工事に要する費用の一部を空港の所在する道府県に負担させるもので、航空局においては毎年度の工事実施見込額に道府県の負担割合を乗じた額を徴収し、その過不足額の精算は工事担当部局である港湾建設局等が提出する精算調書に基づいて行なうこととしている。
しかして、函館ほか12空港における昭和40、41両年度の滑走路等の工事施行にかかる収納済負担金5億5675万余円についてその精算状況を調査したところ、航空局と工事担当部局間の連絡が十分でなかったため精算調書が所定の期日までに提出されていなかったり、精算調書の提出があっても航空局で受理したままとなっていたりしていて負担金の精算が行なわれていない状況であるので、関係担当部局間の連絡を緊密にして精算調書提出期限の励行に努めるとともに、受理後の処理を促進するなどして適期適切な精算を行なうよう配慮の要があると認められる。
(港湾整備特別会会計)
本特別会計は、港湾整備および特定港湾施設工事の両勘定に区分して経理されており、このうちおもな勘定である港湾整備勘定の昭和42年度歳入歳出決算額は、歳入659億3256万余円、歳出640億1567万余円で、歳入決算額のうちおもなものは、一般会計より受入499億4361万余円、港湾管理者の工事費負担金128億5431万余円、歳出決算額のうちおもなものは、国が直轄で施行した港湾改修等の事業費386億0021万余円、地方公共団体等が施行した港湾改修事業に対する国庫補助金192億4837万余円である。
検査の結果、別項記載のとおり、公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの がある。
(一般会計) (組織)運輸本省 (項)海岸等事業費 (項)港湾施設災害復旧事業費 | |
(港湾整備特別会計) (港湾整備勘定) | (項)港湾事業費 (項)北海道港湾事業費 (項)特別失業対策事業費 |
地方公共団体等が施行した港湾等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は、港湾法(昭和25年法律第218号)等に基づいて交付されるものである。しかして、全国の工事箇所3,288のうち北海道ほか20府県につきその24.5%に相当する806箇所(工事費11,483,788,003円、国庫補助金5,609,220,919円)を実地に検査したところ、臨港道路舗装工事において路盤および舗装の厚さが設計に比べて不足していたり、護岸水たたき工事においてソイルセメントの混合が不十分であったため工事の施行が不良となっていたりなどして国庫補助金の経理当を得ないと認められたものが北海道ほか3県(注) において、不当と認めた工事費に対する国庫補助金相当額が1工事10万円以上のもので4工事1,047,225円(うち港湾整備特別会計港湾整備勘定の分2工事552,750円)あり、このうち1工事20万円以上のものをあげると次表のとおり2件766,750円である。
(注) 北海道、新潟、島根、福岡各県
道県名 | 工事 | 事業主体 | 工事費 | 左に対する国庫補助金 | 不当工事費 | 左に対する国庫補助金相当額 | 摘要 | |
(219) |
北海道 |
稚内市稚内港改修 |
稚内市 |
千円 23,532 |
千円 17,649 |
千円 553 |
千円 414 |
臨港道路の路盤および舗装コンクリート工事の出来高不足 |
(220) | 福岡県 | 大牟田市大牟田港高潮対策 | 福岡県 | 1,148 | 765 | 528 | 352 | 護岸の水たたきソイルセメント工事の施行不良 |
計 | 24,680 | 18,415 | 1,081 | 766 |