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  • 昭和42年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

日本電信電話公社


第3 日本電信電話公社

(事業概要について)

 日本電信電話公社の昭和42年度末における電話取扱局は、公社直営のもの1,451局、郵便局に業務を委託しているもの4,242局計5,693局であり、加入電話数は988万余(ほかに農村集団自動電話42万余がある。)で前年度末に比べて140万余(16.5%)増加しており、これを交換方式別にみると自動式が905万余で152万余の増加、共電式が1万余で3万余の減少、磁石式が81万余で8万余の減少となっている。この結果加入電話普及率は100人当り9.8加入となり、また、自動化率は91.5%、即時化率は96.3%となっていて、いずれも向上している。加入電話のうち住宅用電話が占める割合は、前年度末の29.2%に対し32.8%と増加しており、また、申込みを受けたが未架設となっている数は242万余となって31万余増加している。公衆電話数は普通公衆電話2万余個、委託公衆電話27万余個、局内公衆電話等2万余個計32万余個となっている。

 42年度末の電報取扱局所は、公社直営のもの1,181局、郵便局に業務を委託しているもの16,267局等であり、また、同年度末の加入電信(テレックス)取扱局は266局であり、加人数は2万1千余となって前年度末に比べると4千余(26.3%)増加している。

(損益について)

 42年度における損益は、営業損益において利益244億0319万余円、営業外損益において損失6億8205万余円であって、差引き237億2114万余円の純利益となり、これを前年度の純利益238億8502万余円に比べると1億6388万余円の減少となっている。

 営業損益を事業別にみると、電話事業では、収入は6565億7447万余円、費用は5911億4322万余円で、差引き654億3124万余円の利益となり、前年度に比べて21億3423万余円の利益増加となっている。また、電信事業では、収入は227億0649万余円、費用は637億3453万余円で、差引き410億2804万余円の損失となり、前年度に比べて39億8382万余円の損失増加となっていて、収支状況は逐年悪化している。

(資金について)

 42年度の所要資金9547億1680万余円については、前年度からの繰越金193億3256万余円、事業収入等6969億3578万余円、債券発行による収入金2384億4845万余円を充当している。

 しかして、42年度末における長期借入金および債券発行残高は1兆3246億3710万余円で、前年度末の1兆0924億4123万余円に比べて2321億9587万余円の増加となっており、また、42年度中の利子負担額は509億6585万余円で前年度の385億7231万余円に比べて123億9353万余円の増加となっている。

(建設工事について)

 42年度における建設勘定の支出予算現額は、5210億2693万余円、支出済額は4834億3436万余円で、375億9257万余円を翌年度に繰り越しており、前年度の支出済額4218億2261万余円に比べて616億1174万余円増加している。

 42年度の建設工事についてみると、年度内完了予定のものに対し前年度からの繰越し分を含めた実績は加入電話の増設140万に対し140万余、農村集団自動電話の増設20万に対し20万余、公衆電話の増設4万余個に対し3万余個、電話局の建設390局に対し367局、市外局の建設13局に対し17局および市外電話回線の増設6万余回線に対し6万余回線となっている。

 電信電話拡充第3次5箇年計画は42年度をもって終了し、これに要した経費は予定1兆7875億円に対し実績1兆8116億余円となっているが、そのおもな内容についてみると、その計画に対する実績は、加入電話の増設において500万に対し510万余(ほかに農村集団自動電話42万余がある。)、公衆電話の増設において18万個に対し15万余個、電話局の建設において1,387局に対し1,188局、市外局の建設において82局に対し61局、市外電話回線の増設において31万回線に対し26万余回線、電報中継機械化において6局に対し7局となっている。

(資材の調達管理について)

 42年度における貯蔵品購買費支弁による物品の購入額は2823億2788万余円で、建設工事量の増大を反映して前年度の2402億3321万余円に比べて420億9467万余円の増加となっており、また、42年度末貯蔵品残高は116億0544万余円で、前年度末の130億4745万余円に比べて14億4201万余円減少している。なお、貯蔵品在庫回転率は7.20回となっていて、前年度の6.22回に比べて向上している。

 検査の結果、別項記載のとおり、高圧接地保護装置の購入にあたり仕様が適切でなかったため不経済となっているもの がある。

不当事項

物件

(257) 高圧接地保護装置の購入にあたり仕様が適切でなかったため不経済となっているもの

 日本電信電話公社で、昭和42年1月から43年2月までの間に、指名競争契約または随意契約により日新電機株式会社および光商工株式会社から高圧接地保護装置200アンペアのもの428個、300アンペアのもの1個計429個を1個当り72,800円または73,100円総額31,234,500円で購入しているが、仕様が適切でなかったため約690万円が不経済となっていると認められる。

 本件保護装置は、電話局等高圧受電局所の高圧機器等の電気回路が接地事故を起こしたとき自動的に電気回路をしゃ断させるために使用するもので、同公社で38年2月制定した仕様書により仕様を指示して購入したものであるが、本院の調査によれば、一般の高圧自家用需要家においては、本件保護装置と機能的にはほとんど変りがなく、価格が低廉な市販のものを設置している状況であるから、本件保護装置についても、一般の需要家が使用しているものについて、同公社が品質の安定等のためとくに必要とする一部部分品の取替え等を行なったものを使用することとしてもなんら支障はなかったものと認められる。また、本件購入品の容量決定にあたっては、同公社制定の電気通信技術標準実施方法において本件保護装置の容量とすることとされている高圧受電盤用変流器の一次側の定格電流値を設置予定局所429箇所について調査したところ415箇所については電流値が100アンペア未満であったのに、前記仕様書において本件保護装置の容量を200アンペアから600アンペアまでの4段階に区分しているので、415個についてもすべて200アンペアとして、前記のように購入したものであるが、一般の需要家が使用している市販のものには100アンペアの容量のものがあるのであるから、本件購入にあたり200アンペアとした428個のうち415個についてはこれを100アンペアとすべきであったと認められる。

 いま、仮に仕様を改訂して、前記のように一般の需要家が使用している装置の一部部分品を取り替えるなどしたものを使用することとし、その容量については415個を100アンペア、13個を200アンぺアおよび1個を300アンペアとして購入したとすれば、市販価格に前記部分品の取替えなどによる価格増を考慮しても1個当り100アンペアのもの56,400円、200アンペアのもの62,400円および300アンペアのもの74,900円で足り、総額では24,292,100円となって、本件購入価額に比べて約690万円を節減することができたものと認められる。