昭和４２年度決算検査報告
中小企業信用保険公庫の昭和４２年度末の資本金は５０９億３７００万余円で、前年度末に比べて９５億円増加している。しかして、この増加額は融資基金に充てるため出資を受けたもので、この結果、保険準備基金は８１億３７００万余円、融資基金は４２８億円となっている。
４２年度における保険事業については、信用保証協会との間に保険関係が成立する保険価額を９０６１億円と予定したが、これに対し保険関係が成立した保険価額は８８７５億７９０２万余円となっている。公庫が同年度中に受け付けた保険価額の増加額は９０７４億００７４万余円、減少額は５９３４億９３０１万余円で、差引き年間純増加額は３１３９億０７７２万余円であり、年度末保険価額残高は１兆０２３０億９１９６万余円となっている。
また、融資事業については、信用保証協会に対する貸付額３１５億９７００万円を予定したが、これに対し貸付実行額は長期資金２８４億３６００万円および短期資金２２億１０００万円計３０６億４６００万円となっており、この原資については、政府出資金９５億円および貸付回収金等２１１億４６００万円を充当している。貸付実行額から回収額２１２億４５００万円を差し引いた年間純増加額は９４億０１００万円であり、年度末貸付残高は４２５億８７００万円となっている。
４２年度においては、保険事業では、保険料２４億５０９０万余円、支払保険金にかかる回収金２８億１８００万余円、基金収入２億０５８０万余円、支払備金れい入１０億１５２４万余円、責任準備金れい入１億７１６５万余円等の利益６６億６５１１万余円、保険金９５億２４３７万余円、事務費４億９３６３万余円、支払備金繰入１７億４１１３万余円等の損失１１７億７６８１万余円で、５１億１１６９万余円の損失金を生じている。この損失金は前年度に比べて４４億２０５６万余円の増加となっているが、これは保険事故が多かったことにより保険金が２８億７６５７万余円、支払備金繰入が７億２５８８万余円増加したことなどによるものである。また、融資事業では、貸付金利息８億３０６５万余円等の利益８億３０９４万余円、事務費７３３２万余円等の損失７５９５万余円で、７億５４９８万余円の利益金を生じている。この結果、総括損益においては損失金４３億５６７０万余円を生じたので、４３年９月、中小企業信用保険公庫法（昭和３３年法律第９３号）の規定により資本金を減額してこれを整理した。なお、４２年度から未収貸付金利息（４３年度まではその一部）を利益に計上することとなり、年度末未収貸付金利息の総額２億４９１４万余円のうち８３０４万余円を計上している。