昭和42事業年度においては、豊川事業区域にかかる事業については、前事業年度に引き続き支線水路工事40億2532万余円、幹線水路工事30億8473万余円、えん堤工事14億3371万余円、補助ため池工事5億9160万余円等を施行したほか、一般管理費6億9329万余円を合わせ102億3642万余円を使用して総事業計画額487億9000万円の20.9%を実施しているが、その結果、事業開始以来43年3月末までの事業進ちょく率は93.4%となっている。このほか、水道事業者に対しその専用施設新設に必要な資金として7億9500万円を貸し付けている。なお、事業の進ちょくに伴い、宇連ダム、赤羽根水量調節ぜき間の通水が可能となり、暫定的に受益予定農地20,182ヘクタールのうち8,509ヘクタールに総量5190万余立方メートルのかんがい用水および豊橋市に138万余立方メートルの上水道用水を補給した。
また、木曾川事業区域にかかる事業については、愛知、岐阜両県、水道事業者、電気事業者の負担金および愛知用水ほか2土地改良区に対する賦課金等26億4399万余円を徴収決定し、21億0714万余円(うち既往事業年度分3億1200万余円)を収納し、資金運用部資金の借入金等に対する元利返済金29億7617万余円を支払い、管理業務等に必要な経費として1億6844万余円を使用している。
42事業年度の所要資金154億0353万余円については、豊川事業区域にかかる事業に対する国庫補助金61億0185万余円、同事業のための資金運用部資金の借入金59億円、余剰農産物資金融通特別会計からの借入金3億円、木曾川事業区域にかかる事業における事業収入21億0714万余円等を充当している。
42事業年度の損益は、建設負担金収入21億2427万余円、受取利息7億6858万余円、豊川用水部門繰延勘定への繰入15億7866万余円等の収益49億9657万余円、支払利息29億7687万余円、減価償却引当損11億1535万余円、一般管理費7億8666万余円等の費用49億3490万余円で、差引き6166万余円の利益となっている。
上記建設負担金収入のうち7億5934万余円は愛知用水ほか2土地改良区にかかるものであるが、これら土地改良区に対する建設負担金の徴収の状況をみると、賦課した建設負担金総額は60億3461万余円で、これを37事業年度以降9年または14年の元利均等償還により徴収することとなっており、42事業年度末までに総額47億1834万余円の徴収決定をしたが、これに対し収納済額は4億8698万余円にすぎず、42億3136万余円が未収となっている。
検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。
愛知用水公団が昭和33年度から42年度までの間に買収(地上権の設定を含む。以下同じ。)した用地1354万余平方メートル(25億9702万余円)について、所有権移転登記(地上権設定登記を含む。以下「登記」という。)の状況につき調査したところ、42年度末において登記未済となっているものが18,367筆169万余平方メートル(6億8177万余円)あり、このうちには、買収後、売買により第三者の名義に登記されているものが260筆5万余平方メートル(510万余円)、買収前から設定されていた抵当権等が抹消されないままとなっているものが553筆10万余平方メートル(2884万余円)ある。
このような状況にかんがみ、登記未済のものについては、その処理の促進を図るよう配慮の要があると認められる。