東北開発株式会社の昭和42営業年度末の資本金は90億1000万円(うち政府出資89億0750万円)で、前営業年度末に比べて16億円増加している。
42営業年度は同会社再建5箇年計画の第4年度に当たっており、そのおもな生産品の販売については、セメント55万5千トン、カーバイド4万1千余トン、ハードボード2万4千余トンを計画したが、これに対する実績はセメント57万7千余トン、カーバイド4万4千余トン、ハードボード2万9千余トンとなっている。
42営業年度の新規事業は、セメント事業3億円、投融資事業3億円、下北開発事業等5億円、化工事業の整備6億円計17億円の計画に対し、実績は、セメント事業については岩手セメント工場の整備等に2億3787万余円、投融資事業については東北ホモボード工業株式会社に対する融資1億円、下北開発事業等については43年3月設立された下北観光株式会社に対する出資3000万円およびアツギむつナイロン株式会社に対する融資1億円等1億3016万余円計4億6804万余円で、計画を12億3195万余円下回っているが、これは化工事業の整備計画が具体化しなかったことなどによるものである。また、前営業年度からの繰越事業で42営業年度に実施したものは投融資事業等2億4491万余円である。
42営業年度の所要資金117億0028万余円については、前営業年度からの繰越金9億9704万余円、政府出資金16億円、社債発行による収入金6億円、銀行からの借入金5億8000万円、営業収入71億1430万余円等を充当している。
42営業年度の損益は、経常損益においては営業収益68億0917万余円、営業外収益3億3443万余円計71億4361万余円の収益に対し、営業費用59億8459万余円、営業外費用10億0886万余円計69億9345万余円の費用で、差引き1億5015万余円の利益を生じたが、特別損益において特別利益9263万余円および特別損失1億8377万余円があったため、当期利益金は5902万余円となっている。これを事業別等についてみると、セメント事業で4億2309万余円の利益、化工事業で4924万余円、ハードボード事業で2225万余円、本社部門で2億9257万余円の損失となっている。
しかして、同会社は再建5箇年計画実施後はじめて利益を計上しているが、42営業年度末の累積欠損金が77億7054万余円で、前記再建計画における第4年度末の予想累積欠損金に比べて9億4644万余円上回っていることなどを考慮すると、同会社の合理化についてはなお一層努力の要があると認められる。