(郵政事業特別会計)
昭和43年度の歳入歳出決算額は、徴収決定済額5671億2714万余円、支出決定済歳出額5558億0058万余円であって、徴収決定済額のうちおもなものは受託業務収入2130億5825万余円および業務収入1942億8783万余円であり、支出決定済歳出額のうちおもなものは業務費4008億5027万余円である。
43年度の損益は、受託業務収入2130億5825万余円、郵便業務収入1859億3176万余円等の収益4160億2022万余円、郵便費1510億4577万余円、総係費862億2904万余円、為替貯金費688億1292万余円、保険年金費550億6925万余円等の損失4060億9165万余円になっていて、差引き99億2857万余円の利益を生じている。これを前年度の利益104億0972万余円に比べると4億8115万余円の減少になっている。
検査の結果、別項記載のとおり、郵便コンテナカバーの購入にあたり、仕様が適切でなかったため、不経済になったもの
、職員の不正行為により国に損害を与えたもの
がある。
会計名および科目 | 郵政事業特別会計(項)業務費 |
部局等の名称 | 東京郵政局 |
購入物品 | 郵便コンテナカバー1,650個 |
購入物品の概要 | 書留小包郵便物をコンテナに積載して運送する場合に郵便物を保護するためコンテナの上部を覆う麻帆布製のカバー |
購入価格 | 5,940,000円(単価3,600円) |
納入業者 | 株式会社広瀬商会 |
契約年月および契約の種類 | 昭和43年7月 随意契約 |
昭和44年3月 指名競争契約 | |
支払 | 昭和43年8月、44年3月 2回 |
この物品の購入は、仕様が適切でなかったため、約140万円が不経済になったと認められる。
(説明)
この物品は、郵政省で制定した仕様書により、覆部には麻帆布の天幕地16号を、腰幕部には同鯱3号を使用した製品を購入したものである。
しかして、使用布地を決定するにあたっては、上記の麻帆布と、並郵袋および外国通常小包郵袋に使用しているビニロン帆布について検討し、ビニロン帆布は、洗浄した場合の収縮度合が大きくて使用できなくなるおそれがあるとして、麻帆布を採用したものである。
しかしながら、本院で調査したところ、ビニロン帆布は、洗浄した場合でもその収縮度合が麻帆布と大差なく、かつ、強度も麻帆布よりすぐれていて、本件のコンテナカバーに使用してもなんら支障がないと認められ、しかも、麻帆布に比べて相当に低価であることが明らかであったものであるから、本件のコンテナカバーの使用生地としては、ビニロン帆布を採用すべきであったと認められる。
いま仮に、本件のコンテナカバーについて前記の並郵袋等に使用しているビニロン帆布を使用した製品を購入したとすれば、1個当り2,745円総額4,529,250円になり、約140万円を節減することができたと認められる。
会計名 | 郵政事業特別会計 |
郵便貯金特別会計 | |
簡易生命保険及郵便年金特別会計 | |
部局等の名称 | 磯子ほか41郵便局 |
上記の42郵便局において、関係職員の不正行為により国に損害を与えたものが42事項20,144,549円(うち昭和44年9月末現在補てんされた額16,785,696円)ある。
このうち、不正行為金額が1事項50万円以上のもので、44年9月末現在まだ補てん済みになっていないものを掲げると、別表のとおり4件4,977,681円である。
郵便局における不正行為については、当局においてもその防止に努めてはいるが、なお多数の事例、とくに、下記の説明に記述するように、職員を指導監督する地位にある特定郵便局長等の不正行為が跡を絶たないのは遺憾である。
(説明)
本件は、郵便局で現金の受払等の事務に従事している職員が、取り扱っている繰替払現金等をほしいままに領得したものであって、これらを態様別に説明すると、次のとおりである。
(ア) 郵便貯金の集金および簡易生命保険保険料の収納の事務等に従事している外務員が、定額郵便貯金等の預入金、簡易生命保険保険料を受領した際、これを受入処理しないで領得したり、預金者から保管を依頼された定額郵便貯金証書について払いもどし金の受領証を偽造し払いもどしをして領得したりしたもの等
(イ) 現金受払等の事務に従事している内務員が、通常郵便貯金等の預入金、別納郵便物料金を受領した際、これを受入処理しないで領得したり、簡易生命保険保険料を外務員から引き継いだ際、その一部を受入処理しないで領得したりしたもの等
(ウ) 分任繰替払等出納官吏の事務に従事している特定郵便局長または局長代理が、定額郵便貯金等の預入金、切手類売渡し代金、過超金を受領した際、その全部または一部を受入処理しないで領得したもの等
庁名 | 不正行為をした職員 | 不正行為期間 | 不正行為金額 | 補てんされた額 (44.9.30現在) |
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年月 | 円 | 円 | |||
(131) | 東京郵政局管内 磯子郵便局 |
出納員 郵政事務官 明平某
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42.10から 43.7まで |
977,158 | 294,000 |
同人が、貯金課所属の外務員として郵便貯金の募集および集金事務に従事中、預金者から保管を依頼された定額郵便貯金証書について払いもどし金の受領証を偽造して払いもどししたり、定額郵便貯金等の預入金を受領した際、これを受入処理しなかったりして領得したものである。 | |||||
(132) | 同 飯能郵便局 |
出納員 事務員 鈴木某
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44.3から 44.5まで |
655,838 | 100,000 |
同人が、貯金保険課所属の外務員として簡易生命保険の募集および集金事務に従事中、預金者から預入れを依頼された定額郵便貯金の預入金を受領した際、これを受入処理しなかったり、預金者から通常郵便貯金の払いもどしを依頼された際、内務員から受領した払いもどし金を預金者に交付しなかったり、または簡易生命保険保険料を受領した際、これを受入処理しなかったりして領得したものである。 | |||||
(133) | 同 足利朝倉郵便局 |
分任繰替払等出納官吏特定郵便局長 大槻某
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43.3から 44.5まで |
2,734,000 | 1,206,623 |
同人が、特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金等の預入金を受領した際、これを受入処理しないなどの方法により領得したものである。 | |||||
(134) | 熊本郵政局管内 熊本中央郵便局 |
出納員 郵政事務官 内山某
|
39.4から 44.2まで |
610,685 | 18,205 |
同人が、貯金課所属の外務員として郵便貯金の募集および集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金を受領した際、これを受入処理しないなどの方法により領得したものである。 | |||||
計 | 4,977,681 | 1,618,828 |