昭和４３年度決算検査報告
昭和４３年度におけるたばこの製造数量は１９７１億４５１９万余本、輸入数量は１７億６０６４万余本であり、その販売数量は１９８７億９４８３万余本、販売金額は６７８１億２９０９万余円になっている。また、同年度における塩の受入数量は、国内産塩９３万余ｔ、輸入塩５１６万余ｔ（うちソーダ工業用自己輸入塩４６８万余ｔ）計６１０万余ｔであり、その販売数量は６０８万余ｔ、販売金額は３７７億８１７１万余円になっている。この販売数量および販売金額を前年度に比べると、販売数量で、たばこ２６億７５３１万余本、塩６５万余ｔの増加、販売金額で、たばこ１０９４億９９８４万余円、塩２８億５３８５万余円の増加になっている。
４３年度においては、同年５月、製造たばこの定価改定が行なわれた。このため、販売数量は前年度に比べて１．４％増加したにとどまったが販売金額は１９．３％増加している。また、「泉」ほか２銘柄の売れ行きが不振であつたため、４３年度中に３億０７１３万余本を再生原料等として処理している。なお、同年度には「エコー」および「セブンスター」が新製品として発売された。
４３年度に収納した国内産葉たばこは１９万余ｔ１０３０億５７５４万余円である。これを前年度に比べると、１万余ｔ２８億３６３０万余円の減少になっている。また、４３年度における国内産葉たばこの使用数量等は１６万余ｔであり、同年度末の在庫数量は４４万余ｔになっている。これを前年度末に比べると２万余ｔの増加になっている。
４３年度における施設整備の状況については、たばこ製造工場に除骨方式を導入するなど施設の整備拡充を行なうため１８５億５００５万余円を支出している。
４３年度中にたばこ製造工場３工場が上記の方式により操業を開始し、同年度末現在同方式を導入している工場は、たばこ製造工場４０工場のうち１９工場、原料工場２３工場のうち１３工場になっている。
４３年度における損益は、営業損益では利益４６５４億９７１２万余円、営業外損益では損失１０億５５７３万余円で、差引き４６４４億４１３８万余円の総利益を生じ、これからたばこ消費税１８０２億３５６４万余円を差し引いた２８４２億０５７４万余円が純利益になっている。この純利益を前年度に比べると８０７億３７８０万余円の増加になっている。
４３年度においては、たばこ事業では利益２８６０億３６５３万余円になっている。これは前年度に比べて８１４億６７１０万余円の増加である。このように利益が増加したのは、主として製造たばこの定価改定があったことによるものである。また、塩事業では損失１８億３０７８万余円になっている。これは前年度に比べて７億２９２９万余円の増加である。このように損失が増加したのは、主として塩の収納価格が引き上げられたことによるものである。
なお、固定資産のうち機械および装置についてその陳腐化に対処するため、減価償却の方法を定額法から定率法に変更している。
専売納付金として国庫に納付した額は、４３年度における固定資産、無形資産およびたな卸資産の額の合計額の増加額４３１億６０５９万余円からこれら資産の増加に伴う長期借入金の増加額に相当する金額９０億円を控除した３４１億６０５９万余円を、前記の純利益２８４２億０５７４万余円から控除した２５００億４５１４万余円で、このうち８２０億円を４４年３月概算納付している。しかして、上記の控除額３４１億６０５９万余円はこれを積立金として積み立てている。
上記の専売納付金２５００億４５１４万余円は、前年度に比べて７３０億２７２９万余円、予定額に比べて１９６億１４００万余円増加している。また、この納付額は、一般会計収納済歳入額の４．１％を占めている。
なお、４３年度には都道府県および市町村にたばこ消費税１８０２億３５６４万余円を納付している。したがって、国および地方公共団体に納付した額は４３０２億８０７９万余円になる。これは前年度に比べて８４９億４８１６万余円の増加である。
４３年度の所要資金８４０３億１０２３万余円については、前年度からの繰越金４７億８０５２万余円および事業収入等７１９５億２９７１万余円のほか、資金運用部資金の借入金１１４０億円および農林中央金庫からの借入金２０億円を充当している。しかして、上記の借入金は繰替使用していた国庫余裕金を償還するなどのため借り入れたもので、４３年度末における借入金残高は１１６０億円になっている。これは前年度末残高に比べて９０億円の増加である。
なお、前記の農林中央金庫からの借入金は、４２年７月、日本専売公社法の借入金に関する規定が改正されて以来、はじめて政府以外から借り入れたものである。