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  • 昭和43年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

畜産振興事業団


第22 畜産振興事業団

 畜産振興事業団の昭和43事業年度末の資本金は30億8130万円(うち政府出資27億円)である。

(事業概要について)

(1) 畜産物の価格安定に関する業務

 43事業年度における指定乳製品等の買入れおよび売渡しの業務においては、脱脂粉乳8,947t、ホエイパウダー1,164tを12億4439万余円で輸入し、前事業年度からの繰越し分を含め、脱脂粉乳5,519t、バター5,869t、全粉乳1,711t、ホエイパウダー2,854tを50億0256万余円で売り渡している。43事業年度末における輸入乳製品の保管量は、脱脂粉乳9,993t、全粉乳447t、ホエイパウダー311t、たな卸資産価額は18億8364万余円になっている。
 また、43事業年度下期には指定乳製品の価格が農林大臣の定めた安定指標価格を下回る状況であったので、乳業者の申込みにより、44年2月および3月、国内産脱脂粉乳12,200t、バター1,988tを54億2286万余円で買い入れていて、43事業年度末におけるこれらのたな卸資産価額は54億4349万余円になっている。

 指定食肉(豚部分肉等)の買入れおよび売渡しの業務においては、43年4月に中央卸売市場における売買相場が農林大臣の定めた安定上位価格をこえるおそれがあったため、前事業年度から繰り越した豚部分肉等を売り渡すことにし、43年4月から7月までの間に、東京ほか7中央卸売市場等において5,212tを22億4329万余円で、また、43年5月および6月に、全国食肉事業協同組合連合会等に対し随意契約により3,762tを13億8484万余円でそれぞれ売り渡した。その結果、前事業年度から繰り越した豚部分肉等は全量の売渡しを終えた。
 輸入牛肉の買入れおよび売渡しの業務においては、43事業年度中、オーストラリア産、ニュージーランド産の牛肉2,736tを13億1859万余円で買い入れ、前事業年度からり繰越し分を含めて43事業年度中に3,755tを18億9966万余円で売り渡していて、同事業年度末における保管量は2,097t、たな卸資産価額は10億1370万余円になっている。

(2) その他の業務

 債務保証業務においては、同事業団に出資している乳業者の債務を保証した額46億9537万円、償還等により減少した保証額48億6353万余円で、43事業年度末の保証残高は13億9293万余円になっている。
 助成業務においては、学校給食用牛乳供給事業に対し78億8740万余円、生乳生産の振興を図るため都道府県指定生乳生産者団体が行なう酪農振興特別事業等に対し13億8905万余円を補助したほか、社団法人京都府肉用子牛価格安定基金協会等に2億円を出資した。43事業年度末の出資先は31法人で、出資総額は16億8409万円になっている。
 加工原料乳生産者補給交付金の交付業務においては、指定生乳生産者団体に対し、加工原料乳1,070,899tについての生産者補給金に充てるため63億6114万余円を交付した。

(資金について)

 43事業年度の所要資金359億9278万余円については、前事業年度からの繰越金50億4271万余円、学校給食用牛乳供給事業補助の財源に充てるための政府交付金80億円、加工原料乳生産者補給交付金の交付業務の財源に充てるための政府交付金20億2584万余円、農林中央金庫からの借入金82億0500万円、輸入乳製品等の売渡収入93億4630万余円等を充当している。

(損益について)

 43事業年度の損益は、利益308億4154万余円、損失372億4073万余円で、差引き63億9919万余円の当期損失金を生じている。これを勘定別にみると、一般勘定で18億4120万余円、債務保証勘定で321万余円、補給金等勘定で45億6850万余円の損失金、輸入牛肉勘定で1374万余円の純益金をそれぞれ生じ、助成勘定では利益損失同額になっている。なお、一般勘定の損失金は同勘定の繰越欠損金とし、債務保証勘定の損失金は同勘定の積立金を減額して整理した。補給金等勘定の損失金については、同勘定の前年度からの積立金20億3617万余円を減額し、なお不足する25億3233万余円を同勘定の繰越欠損金として整理した。

 検査の結果、本院の注意により、同事業団において処置を講じたものが次のとおりある。
 畜産振興事業団では、指定乳製品の価格低落に伴い、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和40年法律第112号)の規定に基づいて、昭和44年2月から3月までの間に、国内産の脱脂粉乳12,200t、バター1,988tを安定指標価格から10%を控除した価格で買い入れ、これを日本通運株式会社ほか33会社に寄託している。
 しかして、これら乳製品の保管料について調査したところ、寄託物の従価率算定の基礎である寄託申込価格が適切でなかったり、従量率の容積等の決定にあたって検討が十分でなかったりしたため割高な保管料になっていて、現に同事業団の買入品と同一品の民間貨物の場合の保管料と比較してみても高価になっていた。これについて注意したところ、同事業団では44年10月から寄託申込価格、容積等について寄託契約を改訂した。