昭和４４年度決算検査報告
厚生保険特別会計について
厚生保険特別会計は、健康、日雇健康、年金および業務の各勘定に区分して経理されている。
このうち健康勘定の昭和４４年度損益についてみると、保険料４５２０億５３４７万余円等のほか一般会計からの受入２２５億円を含めて利益４７７４億４２１８万余円に対し、保険給付費４７４９億０５３７万余円、支払利子７８億１４７９万余円等の損失４８９３億９２６５万余円で、差引き１１９億５０４６万余円の損失になっており、前年度に比べて４４億３２２２万余円増加している。これは、主として、４４年度に被保険者の薬剤費一部負担が廃止されたことおよび診療報酬が改訂されたことによるものである。
しかして、同勘定は、３８年度以降４４年度まで引き続いて損失を生じていて、この間一般会計から累計８６５億円に及ぶ繰入れを受けているが、なお、４４年度末の累積損失は１０４４億００１１万余円になっている。これは、保険料率の引上げ、被保険者の標準報酬月額上限の引上げ等保険料増収の処置をとったことにより保険料収入が増加したが、一方、医療給付費が年々増加したことなどのため、保険給付費が保険料収入を上回ったことによるものである。