ページトップ
  • 昭和44年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第3 厚生省|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

児童福祉法による保護等に要する費用について処置を要求したもの


(2) 児童福祉法による保護等に要する費用について処置を要求したもの

(昭和45年11月11日付け45検第346号 厚生大臣あて)

 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の規定により、都道府県等が養護施設、精神薄弱児施設、乳児院等の施設に児童を入所させた場合の保護等に要する費用に対し、厚生省が国庫負担金を交付している。しかして、昭和45年中、宮城県ほか9都県で、これら都県が43年度中に支出した保護等に要する費用のうち児童の医療に要した費用7億0588万余円(これに対する国庫負担金相当額5億6470万余円)について調査したところ、次のとおり適切でないと認められる点があった。

 すなわち、前記の入所等の措置をした児童は、原則としてすべて医療関係の社会保険の被保険者等であり、これら児童に医療を受けさせた場合の国庫負担の対象とする医療費については、同省において基準を定め、「健康保険の医療費の算定方法に準じて算定した額(医療機関が社会保険の指定医療機関であり、かつ、医療を受ける児童が社会保険の被保険者等である場合には、その社会保険において医療に関する給付が行なわれる額を控除した額)」を国庫負担の対象とすることにしている。

 しかし、前記の10都県においては、前記の入所等の措置をした児童のうち社会保険の被保険者等であることを把握しているのは全児童の約半数にすぎず、はなはだしい都県においては1割程度しか把握していない状況であった。そこで、上記の10都県が社会保険の被保険者等でないとして医療費の全額を国庫負担の対象として算定していた児童のうち1,353人(社会保険の被保険者等であることを把握していない児童数の7.7%)について調査したところ、947人は社会保険の被保険者等であることが判明した。この947人分の国庫負担の対象とした医療費1457万余円(これに対する国庫負担金相当額1166万余円)は、同省が定めた基準によって計算すれば534万余円(これに対する国庫負担金相当額は427万余円。この場合社会保険の給付が行なわれることになるが、その給付額についての国庫負担金相当額は概計380万円になる。)になる。

 このような事態を生じているのは、同省が定めた基準の趣旨が都道府県等に徹底していないことによると認められるので、上記の事態にかんがみ、通達の趣旨を徹底して医療費算定の適切を期する要があると認められる。