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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

住宅金融公庫


第5 住宅金融公庫

(事業概要について)

 昭和44年度において、貸付業務では、計画は、当初2531億円であったが、その後の改訂により2501億円になった。これに対し、貸付契約額は2495億1125万余円になっている。
 44年度の貸付実行額は、前年度までの貸付契約に基づいて44年度に貸付実行した分を含め2334億0638万余円である。この原資には、資金運用部資金の借入金1748億円、簡易生命保険及郵便年金積立金の借入金164億円、債券発行による収入金16億2948万余円および回収金等405億7408万余円を充当している。

 貸付実行額から回収額714億0226万余円および滞貸償却額47万余円を差し引いた年間純増加額は1620億0364万余円であり、年度末貸付金残高は9477億2653万余円になっている。このうち、44年度末において弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は13億4568万余円(うち1年以上延滞のもの9億0869万余円)で、前年度末に比べて4億2681万余円(1年以上延滞のものでは2億1688万余円)増加している。この元金延滞額のうち11億7270万余円は産業労働者住宅資金貸付けおよび中高層耐火建築物資金貸付けの分である。
 また、住宅融資保険業務では、金融機関との間に保険関係が成立する保険金額を180億円と予定した。これに対し、保険関係が成立した保険金額は173億7953万余円になっている。

(損益について)

 44年度において、貸付業務では、利益は、貸付金利息525億4516万余円、一般会計より受入42億3300万円等583億1727万余円、損失は、借入金利息488億4902万余円、業務委託費57億4660万余円、事務費21億5104万余円等585億8051万余円で、差引き2億6324万余円の損失金を生じている。
 また、住宅融資保険業務では、利益は2億1939万余円、損失は1億4737万余円で、差引き7202万余円の利益金を生じている。
 44年度の総収益率は6.53%で、前年度に比べて0.02%上昇している。滞貸償却引当金繰入前の経費率(44年度は滞貸償却引当金の繰入れを行なわなかった。)は6.55%で、前年度に比べて0.11%上昇している。これは、主として、公庫の貸付けの原資が資金運用部資金等からの借入金に依存し、毎年、自己資本に対する借入金等の比率が上昇していて、44年度における借入金利息率が前年度に比べて0.16%上昇したためである。

 検査の結果、本院の質問に対し、住宅金融公庫において処置を講じたものが次のとおりある。

 (委託金融機関における預託金について)

 住宅金融公庫は、貸付けに必要な資金および償還金を預託金として委託金融機関に経理させている。しかして、この預託金の保有の状況についてみると、預託金は貸付資金として必要な額を保有させていれば足りるのに、償還金の公庫に対する納付についての処置が十分でなかったなどのため、必要資金に比べて常時多額に保有されている状況であった。これについて当局の見解をただしたところ、公庫では、45年7月、各支所に通達を発して償還金を貸付資金として積極的に振替使用させるなどの処置を講じている。