ページトップ
  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項

中小企業金融公庫


第7 中小企業金融公庫


(事業概要について)

 昭和44年度の貸付計画は、当初3271億4400万円であったが、その後の改訂により3721億4400万円になった。これに対し、貸付実行額は3821億3380万余円で、前年度に比べて629億2009万余円増加している。この原資には、資金運用部資金の借入金1775億円、簡易生命保険及郵便年金積立金の借入金200億円、債券発行による収入金399億9831万円および回収金等1446億3549万余円を充当している。
 貸付実行額から投資育成会社貸付金17億円、設備貸与機関貸付金17億4688万円を除いた3786億8692万余円を貸付方式別にみると、直接貸付1558億0600万円(41.1%)、代理貸付2228億8092万余円(58.9%)になっている。また、これを資金使途別にみると、設備資金3085億7166万余円(81.5%)、運転資金701億1525万余円(18.5%)になっている。

 貸付実行額から回収額2431億2843万余円および滞貸償却額2894万余円を差し引いた年間純増加額は1389億7643万余円であり、年度末貸付金残高は7748億8699万余円になっている。このうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は48億3945万余円(うち1年以上延滞のもの41億2972万余円)で、前年度末に比べて3億1692万余円(1年以上延滞のものでは2235万余円増加)減少している。

 なお、44年7月、1貸付先に対する貸付金額の限度を従前の3000万円から5000万円に引き上げている。
 また、44年度末における東京、名古屋および大阪の各中小企業投資育成株式会社に対する出資金残高は9億8800万円で、前年度末に比べて6200万円減少している。これは、38年に各会社が発行し公庫が引き受けた優先株式が、当該各会社の43営業年度利益処分により消却されたことによるものである。

(損益について)

 44年度において、利益は、貸付金利息569億3017万余円等611億4753万余円、損失は、借入金利息302億6586万余円、債券利息133億8576万余円、業務委託費85億1517万余円、事務費35億7734万余円等滞貸償却引当金繰入前で580億1711万余円になり、差額31億3041万余円を滞貸償却引当金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入額は年度末貸付金残高の1000分の4.04に相当し、これを繰り入れた累積額247億2609万余円は年度末貸付金残高の100分の3.19になり、累積限度額の53.1%になっている。
 44年度の総収益率は8.16%で、前年度に比べて0.08%上昇している。滞貸償却引当金繰入前の経費率は7.70%で、前年度に比べて0.02%低下している。これは総資産に占める貸付資金量の割合が増加したことによるものである。また、滞貸償却引当金繰入率は0.46%になり、前年度に比べて0.10%上昇している。