昭和44年度の貸付承諾額は3828億5697万余円で、前年度に比べて843億3865万余円増加しているが、これは、船舶等の輸出金融が増加したことなどによるものである。
44年度の貸付実行計画は、前年度までの承諾に基づいて44年度に貸付実行の計画をした分を含め3740億円で、これに対し、貸付実行額は3684億1626万余円で、前年度に比べて650億3433万余円増加している。この原資には、政府出資金635億円、資金運用部資金の借入金2700億円および回収金等349億1626万余円を充当している。
貸付実行額のうち、輸出金融は2955億9570万円で、前年度に比べて614億7090万円(26.2%)増加しており、このうち船舶は1791億2340万円で452億3610万円(33.7%)増加している。輸入金融は102億2820万円、海外投資金融は210億3010万円で、海外資源開発の活発化を反映してそれぞれ43億0320万円(72.6%)、63億0030万円(42.7%)増加している。また、外国政府等に対する借款は414億9106万余円で65億7526万余円(13.6%)減少している。
輸出金融の貸付利率は、従来、大部分のものが年4%であったが、43年度から船舶以外のプラントについては年4.25%または年4.5%の利率を適用する貸付けが増加しており、船舶についても44年度貸付承諾分から年4.25%ないし年4.75%に引き上げている。
貸付実行額から回収額1424億3440万余円を差し引いた年間純増加額は2259億8185万余円であり、年度末貸付金残高は1兆3145億5463万余円になっている。
44年度において債務を保証した額は87億2815万余円、減少した保証額は64億6825万余円(うち保証債務を履行したもの29億1179万余円)で、年度末保証残高は403億7747万余円になっている。
なお、インド政府に対する借款については、44年度中に償還期限の到来した元本41億2957万余円についてその償還条件を3年据置後9年の半年賦払に変更し、貸付利率を年4%(原利率年5.75%から年6.25%)に引き下げた。また、日本輸出入銀行が債務を保証している市中銀行の協調融資のうち、同年度中に償還期限の到来した元本29億1179万余円について保証債務を履行し、同額を前記と同一の条件により同政府に対する借款としている。この処置は、債権国会議における同国の債務救済に関する了解に従って、日印両国政府間に交換された書簡に基づいて行なわれたものである。これにより、同政府に対する借款の44年度末残高は1170億7067万余円になっている。
44年度において、利益は、貸付金利息579億9686万余円等693億2212万余円、損失は、借入金利息633億2307万余円、事務費13億2255万余円等貸倒準備金繰入前で687億2726万余円になり、差額5億9486万余円を貸倒準備金に繰り入れたため利益金を生じなかった。この繰入額は年度末貸付金残高の1000分の0.45に相当し、これを繰り入れた累積額83億8683万余円は年度末貸付金残高の100分の0.63になっている。
44年度の総収益率は4.59%で、輸出金融の貸付利率の一部引上げ等により前年度に比べて0.03%上昇し、貸倒準備金繰入前の経費率は4.54%で、前年度に比べて0.01%上昇している。また、貸倒準備金繰入率は0.05%になり、前年度に比べて0.02%上昇している。