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  • 昭和44年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 政府関係機関その他の団体別の事項|
  • 第23 電源開発株式会社|
  • 意見を表示しまたは処置を要求した事項

水力発電所建設工事の予定価格の積算について処置を要求したもの


水力発電所建設工事の予定価格の積算について処置を要求したもの

(昭和45年11月18日付け45検第363号 電源開発株式会社総裁あて)

 電源開発株式会社が昭和44年度に契約し施工している新豊根発電所新設工事第1工区ほか15件工事のうち岩石掘削工事(工事費約47億円)について検査した結果、予定価格の積算が施工の実情に適合していないと認められるものが次のとおり見受けられた。
 すなわち、上記16件工事のコンクリート工事用骨材の原石採取および水路ずい道掘削等の岩石掘削費は、岩盤破砕に使用する爆薬として坑外作業、坑内作業ともすべて新桐ダイナマイト(1m3 当り使用量0.12kgから2.42kg、価格1kg当り290円から305円、総使用量1,343,871kg分406,443,855円)を使用することとして、掘削量2,655,914m3 分4,699,266,520円を積算している。

 しかし、坑外の岩盤破砕については、ダイナマイトに比べて、爆力がやや低いこと、後ガスが多いこと、耐水性が低いことなど使用上不利な点もあるが、取扱いが簡単でしかも価格が著しく低廉な硝安油剤爆薬が一般に使用され、また、大規模な坑内における岩盤破砕については、新桐ダイナマイトに比べて殉爆度(注) はやや低いが、耐水性、爆力等が同程度で、後ガスが著しく少なく、しかも価格が低廉な2号榎ダイナマイトが一般に広く使用されているから、本件各工事の施行にあたっても、実情に即してこれらを使用することとして掘削費を積算したとすれば積算額を相当程度低減できたと認められる。
 また、上記の爆薬とともに用いる雷管、導火線については、削孔長、削孔間隔に関係なく1m3 当り使用量を算出しているため、施工の実情に著しく合わない数量が積算されている。
 ついては、同会社においては、水力発電所の建設工事を今後も引き続き施行するのであるから、上記の事例にかんがみ、施工の実態を十分調査検討し、工事費積算の適切を期する要があると認められる。

 (注)  殉爆度 爆薬が他の爆薬の爆発に感応して爆発する度合