昭和44営業年度においては、双発プロップジェット中型輸送機YS−11について、生産機数35機の計画に対し計画どおり生産し、その結果、36営業年度に量産を開始して以来累計生産機数は130機になった。このほか、工場完成はしたが、仕向先未定のため保管中の貨客混載型機が3機ある。なお、44営業年度中に量産機数(計画)を150機から180機に変更している。
44営業年度中に売渡先等に引き渡した機数は過年度生産分を含め38機(国内17機、輸出21機)で、同営業年度末現在の引渡済機数は累計129機(国内70機、輸出59機)であり、このうち賃貸中のものは5機になっている。
また、防衛庁向中型輸送機XC−1の研究、開発については強度試験用機の引渡しおよび試作機の製作を行なっており、次期民間輸送機YXについては前営業年度に引き続き調査、研究を行なっている。
44営業年度においては、売上高294億0626万余円(うち賃貸収入8億5562万余円)に対し、売上原価は247億2639万余円で、売上総利益は46億7986万余円になっている。売上総利益から割賦販売による売上利益を繰り延べるなどして算出された当期の実現売上総利益は7億1186万余円で、これから販売費及び一般管理費33億3665万余円を差し引いた営業損益は26億2479万余円の損失になり、営業外収益30億8524万余円、営業外費用50億8568万余円を加減した経常損益は46億2523万余円の損失になっている。
しかし、特別損益において国庫補助金等の特別利益2億3123万余円、過年度売上品原価差額等の特別損失4億3792万余円があったため、当期損失は48億3191万余円になっている。
これは、借入金の増加に伴い支払利息の増加があったほか、米州における航空機の販売にあたり下取りした中古航空機33機の処分損9億8640万円、ドイツマルク平価切上げに伴う為替換算差損1億6720万円および別項記述の事態があったことなどによると認められる。しかして、44営業年度末における損失累計額は154億6977万余円になり、資本金の額78億円(うち政府出資42億円)を76億6977万余円上回っている。
また、44営業年度末現在取引先の経営不振のため回収困難となっている賃貸料等の債権が10億3876万余円ある。
なお、資本金の大部分はYS−11の試作事業に充てられたので、量産事業等に要する資金はほとんど借入金等によりまかなわれることになった。しかして、生産機の販売はほとんど長期割賦により行なわれたため、外部資金に依存する度合がさらに増し、借入金が逐年増加することになった。 44営業年度末の借入金等の残高は594億6975万余円で、前営業年度末に比べて109億2641万余円増加し、また、支払利息は41億2070万余円で、前営業年度に比べて9億3344万余円の増加になっている。